BENTLEY MULSANNE ベントレー ミュルザンヌ
ベントレー渾身のドライバーズカー
アルナージの流れを汲む最新最上級モデル。1930年代の高性能のGT「8リッター」をモチーフにした丸型ヘッドランプが特徴的だ
■石川真禧照の見解
スコットランドの首都エディンバラから試乗に出かける前にセールス&マーケティング担当役員のS・マックロウに尋ねた。「ミュルザンヌの最大の特徴は?」
元欧州レクサスの役員だった彼は即座にこう答えてくれた。
「インテリアの質感。木は本物、革も本物、金属に見える部分も樹脂にメッキしたのではなく本物の金属にメッキをしている」
その言葉は試乗後に訪ねたクルーの工場内で確認できた。ミュルザンヌの全製造工程は1台について約350時間だが、その半分の時間がインテリアの製作に費やされている。
「ミュルザンヌを購入する顧客は平均7台の車を所有している。ロールス、レンジローバー、フェラーリ、プリウス、アストンなどだ。彼らは本物のよさを知
っている。だからミュルザンヌはそれを上回るクオリティにした」
もちろん、〝本物〟はインテリアだけではない。
ほとんどすべて刷新されたV8、6・75LOHV(!)エンジンはツインターボで武装され、512馬力、1012 Nmの性能を発生する。組み合わされたミッションはZF製の8速AT。エンジン、ミッションともに大幅に軽量化されている。しかもV8は巡航時に4気筒休止機構も備えている。
エンジン回転計を見なければアイドリングしているのがわからないほどに静かなV8。Dレンジにシフトして、軽くアクセルペダルを踏むと、2・5tの重量車と思えないほどに、ミュルザンヌは軽く動き出した。
1000回転からでも強力に加速する一方で、7速には60㎞/hでシフトされる経済性も備えている。Sレンジでのスポーツ走行をするまでもなく、Dレンジでドライバーの思いどおりの走りができる。実際は全長5.6m、全幅1.9m、ホイールベース3.3m近い大きなボディなのだが、まるでアッパーミドルクラスのスポーツセダン(例えばMB・E63AMG、ジャガーXFR)のように、操ることができるのだ。もちろん、室内ははるかに静かで、ドライバーも冷静でいられるのだが…。
オーナーの80%は自らハンドルを握るというミュルザンヌだが、一応リアシートにも座り、走ってみる。しかし目の前はフロントシートの大きなヘッドレストだし、テーブルの位置も高く、あまり実用的でない気がした。やはりミュルザンヌはドライバーズカーだ。
約80年ぶりに自らの手で企画し、完成させたミュルザンヌはベントレースポーツのすべてが注ぎこまれた渾身のラグジュアリーサルーンといえる。
PRICE:33,800,000yen
DRIVE SYSTEM:FR
TRANSMISSION:8AT
LENGTH:5575mm
WIDTH:1926mm
HEIGHT:1521mm
WHEELBASE:3266mm
WEIGHT:2585kg
SEATS:4
ENGINE:V8 TWINTURBOCHARGED
DISPLACEMENT:6750cc
POWER:377kW(512ps)/4200rpm
TORQUE:1020Nm/1750rpm
TIRES:265/45ZR20






