FERRARI 599 HGTE フェラーリ 599 HGTE
よりシャープな曲がりを楽しみたい人へ
今年のジュネーブショーで発表されたHGTEパッケージ。これは「ハンドリングGTエボルツィオーネ」の略で、599の高性能版パッケージオプションだ
■渡辺敏史の見解
フェラーリといえばミッドシップというイメージが強いのか、日本ではなぜか人気が今ひとつの12気筒FRライン。しかし圧倒的な伝統の長さも含め、彼らの精神的プライオリティは間違いなく高いところにある。やや旧くなったそれまでのティーポF133系から、エンツォ譲りのティーポF140Cへとエンジンをスイッチし、まったく新しい2シーター12気筒「599」が登場したのは06年のこと。その599が初めての大規模なリファインを受け、同時にオプションでHGTEパッケージが設定された。
まず599そのもののランニングチェンジはエンジンマネジメントやスロットルマップ、燃調の適正化といったメインECU関連の変更が主となる。これによって体感できる最も大きな違いは、低中回転域でのアクセル操作に対するスロットルの開きが劇的にリニアになったことだろう。ペダルの操作感は車格とパワーに対すればまだ若干軽めの印象だが、それでも以前に比べればトルクを滲ませるような微妙なアクセルワークが随分楽になった。また、EUのコンバインモードでは1割以上の燃費改善を果たすなど、その効果はランニングチェンジの域を超えている。
そんな599に設定されたHGTEパッケージは、足回りを中心により曲がりを楽しみたい人のためのオプションとなっている。邦価の269万円は、ほぼ現地価格×現状為替で計算されており、このクラスのユーザーにとってはお得感も高い(?) ものかもしれない。その内容は前後コイルレートを15%前後高め、リアスタビライザー径を10mmアップ、それに合わせて流体磁気によるレート可変制御を行うSCMダンパーを強化側に最適化。さらにはフロントホイールのリム幅を広げて横剛性に対しトレッドを確実に使い切る設定とした他、10mmの車高ダウンに対応したアライメントの適正化など、その作業はこと細かに及んでいる。と共に、鍛造3ピースホイールや、サイレンサー及びエグゾーストエンド、内装加飾などに専用部品が用いられるなど、実に多岐に及んでいる。
そのパッケージによる改善効果は走りの正確さやシャープさの向上が著しく、かつ乗り心地はほぼ遜色なしといったところまでなめされている。これなら街中からサーキット的なエリアまで、極めて広いであろう守備範囲を持つことになるのは間違いない。GTとスーパースポーツの狭間で悩んでいた599のシャシーセッティングは、このHGTEパッケージで一気に払拭されるはずだ。個人的にはこれが標準仕様でも全く問題ないと思ったくらいである。
SPECIFICATIONS(599)
DRIVE SYSTEM:FR
TRANSMISSION:6Semi-AT
LENGTH:4665mm
WIDTH:1962mm
HEIGHT:1336mm
WHEELBASE:2750mm
SEATS:2
ENGINE:V12 DOHC
DISPLACEMENT:5999cc
POWER: 456kW(620hp)/7600rpm
TORQUE: 608Nm(62kg-m)/5600rpm
TIRES: 245/40R19・305/35R20










