Fiat Cinquecento Abarth フィアット チンクエチェント アバルト
自動車の根源的な楽しさを教えてくれる
昨年、グランデプントベースのグランデプント・アバルトを登場させ再スタートしたアバルトブランド
そして歴史的整合性をもったこの500アバルトの再来によって“アバルト”は本格始動する
乗った瞬間から、ハンドルをこねくり回してアクセルをガンガンに踏み込みたい衝動にかられるほど、楽しさに満ちたクルマだった。可愛い動物を見てつぶれるほど抱きしめたい衝動にかられるのと似た、何とも抑え難い気持ちになる。自動車の根源的な楽しさ=前に進むこと、を即席に教えてくれるクルマなんて、今となっては貴重だろう。
500アバルトは、待ちに待った一台である。それは500が華麗に蘇った時点で“約束”されていた一台だったからだ。若い世代のクルマ離れは日本に限ったことではなくイタリアをはじめヨーロッパでも問題になりつつある。フィアット500→500アバルトの流れは、アルファロメオミートと同様に、何とか若年層を振り向かせたいというフィアット首脳陣の気持ちの表れではないだろうか。実際、先に発売されているグランデプントアバルトを買った6割は30歳以下だったという。
もっとも、日本では事情が違って、アバルトといえばもうそれだけでマニアックな視線を集めることだろう。こちらはアバルトという言葉だけで引っかかる、クルマ好きの熟年層がターゲットとなりそうだ。そして、そういう人たちにとってはこの上ない、オトナのオモチャになりそうである。
まるでダンゴムシのように地面に這いつくばって、どしりと構えたカタチを見ただけで、もう好き者は後ろの片輪をリフトさせてコーナーを駆けぬける500の姿を想像してしまうだろう。
実際、走る姿は地面に敷いたベールの中を兜か何かが滑るように走っているようで、ユーモラスかつ人をわくわくさせる。自分も早く乗ってみたい!そんな気にさせるのだ。そして、アバルトエンブレムを眺めながらドアノブに手をかけ、インテリアを覗き込むと、もうたまらない。真っ赤なレザーシート(黒も布もあるけれど)、赤いステッチ、アルミのペダル、大型フットレスト…。ノーマル500のレトロモダンで洒落た雰囲気などまるで消え失せ、そこにあるのは乗り手の気分を囃すスポーティな空間のみ。
“はよぅ乗らせてくれぇ”。もう、それだけだ。
オーバーブーストを利かせて3000回転で206Nmを得るスポーツモードを躊躇なく選び、5段マニュアルをこきこき回して1速に入れる。小さく軽いクラッチペダルを小気味よく離し、ずばっとアクセルペダルを踏み込んだ。
がっつーんとハンドルから前を引っ張っていかれるような加速でありながら、ちゃんと地に足が着いている。だから過激というほどではない。ここはバロッコのテストコース。調子に乗って、けっこうな速度でコーナーを目指す。軽くアクセルオフでクィィとノーズが内を向き、そこからは軽いハンドル操作とアクセルワークで、頭の中ではダンゴムシがベールの中を滑るように走る様を想像しながら、コーナーを駆けぬける。
めちゃくちゃ気持ちいい!
このクルマを楽しむのに、最早ドラテクは不要だ。気分のままに走るがいい。飽きたら?180psへの純正チューンキット“SS”が待っている!!
SPECIFICATIONS(1.4 16V)
DRIVE SYSTEM:FF
TRANSMISSION:5MT
SEATS:4
DISPLACEMENT:1368cc
POWER:99kW(135bhp)/5500rpm
TORQUE:206Nm/3000rpm
TIRES:195/45R16













