VOLKSWAGEN GOLF 7-SPEED DSG フォルクスワーゲンゴルフ7速DSG
エコロジーとセーフティを兼ね備えた最良の実用車
ATの簡便さにMT並みの楽しさと燃費性能を合わせ持つトランスミッションDSGが
さらに7速へ進化を遂げた。年内には日本へも導入予定という7DSG搭載のゴルフに先行試乗
今後クルマに求められる環境技術の方向性をどう定めて展開していくか。技術者の発想以上に重要となるのは、経営陣の判断力そし
て決断力だ。
一歩間違えばそれは企業にとって重大な致命傷になる。たとえばハイブリッドで他社に大きく先んじたトヨタは、組織力や資金力が背景
にあったものの、専用ボディの商品を破格で一般に販売するという決断を90年代の半ばに下したわけだ。
そして従来のレシプロエンジンを次世代要件にフィットさせるためにVWグループが下した大きな決断はご存じ「TSI」。ディーゼルエン
ジンで培った燃料噴射技術を活用し、小排気量の直噴エンジンを可能な限り理想的に燃焼させる。そこに付加する過給器はパワーよりむし
ろトルクを補充する排気量疑似拡大装置として用いる。そうして小さなエンジンから精一杯絞り出した動力は、多段ミッションで最小限の
ロスをもって駆動させ、可能な限り大きな車体を動かすと。このトライアングルが技術的な要となる。当然各々には膨大な開発費を要し、
原価率も決して低くはない。小型車としてダントツに贅沢なパワートレーンを大黒柱にバンバン投入する。大の大人が一世一代の勝負に出
ているというかつてのホンダのような緊迫感が、最近のVWには感じられる。
現在、最新のTSIは、燃焼室形状が変更された1.4Lの直噴ユニットに軽自動車並みに小さなタービンが取り付けられたシングルチャージモ
デルだ。インタークーラーはインマニと一体構造の水冷式。2L NAに迫る20.4kg-mという最大トルクは1500rpmから4000rpmの間で発生する。
VWはこれを従来の1.6L FSIの後継として、欧州ではポロからパサートのレンジまで搭載しようという目論見だ。小食指向、更に極まれりで
ある。
しかもこのエンジンに見合った効率を持つミッションとして、VWは新たに7速のDSGを開発した。多段化によるワイドレシオ化はもちろん
だが、耐用トルクを25kg-m以下に割り切ることで乾式クラッチや狭幅ギアが用いられ、体積や重量は従来の6速DSGの2/3前後に圧縮されて
いる。それらが搭載されたゴルフVのボンネットを開けると、パワープラントが一際コンパクトにまとまっていることがよくわかる。
ゴルフVに積まれた状態での動力性能にまったく不満はない。クラッチの乾式化によるDSGの変速ショックの類はマネジメントの巧みさも
あって皆無に等しく、トルクバンドを常に巧く捉えて加減速の多い都市部でもトコトコと実直な加速を披露してくれた。かつ、高速道路で
の150km/h級巡航はあっさりとこなし、一方で100km/h付近では車載計で20km/Lあたりの燃費を記録すると・・・・・・、常識を覆すような高効率
ぶりは想像力を膨らませれば手に取るように伝わってくる。
日本ではこれを現状のゴルフEの後継として夏あたりに導入する予定だという。価格も大きくは変わらないとあれば、エコロジーとセー
フティを兼ね備えた上質な実用車として、これ以上の選択肢は今のところ、僕には思い浮かばない。
SPECIFICATIONS
DRIVE SYSTEM:FF
TRANSMISSION:7DSG
LENGTH:4204mm
WIDTH:1759mm
HEIGHT:1513mm
WEIGHT:1226kg
WHEELBASE:2578mm
SEATS:5
ENGINE:INLINE 4 TSI
DISPLACEMENT:1390cc
POWER:90kW(122ps)/5000rpm
TORQUE:200Nm/1500-4000rpm
TIRES:195/65R15
文/渡辺敏史 写真/フォルクスワーゲングループジャパン
本国の技術者はツインチャージャーの併売を示唆していたが、構造のシンプルさやコストの面からも、TSIの思想がこの姿=シングルチャー ジャーをベストとしていたことは想像に難くない。アウディが既に採用し、先日パサートに搭載された1.8Tと並び、これが今後のVWグルー プの基本エンジンとなる。そのために欠かせないものとして開発された7速DSGは体積で従来の6速DSGの半分に近いイメージ。これは乾式ク ラッチの採用やギア幅の大幅な短縮などによって達成されている。重量は 70kgと、もはや汎用の5速マニュアルをも下回る軽量ぶりだ。ゴ ルフⅤのボディをして70km/h辺りでそのトップギアを使わせるほど、エンジン側のトルクには余裕がある










