AUDI A5 アウディA5
まるでFRのスタイル、取り回しの良さはアウディ史上最高
90年代初頭、80/90世代以来途絶えていたアウディのクーペモデルが復活した
まず日本に導入されるのは3.2LのA5と4.2LのSモデルS5だ
前輪駆動がメインのアウディにとって、4ドアセダンはまだしも、2ドアクーペのプロポーションだけは“大いなる課題”であったは
ずだ。
その昔、クワトロ搭載で世界を驚愕せしめたスポーツクーペを見れば、それは一目瞭然である。フロントオーバーハングにエンジンがす
っかり載り(ほとんど逆RRのよう)、真横から見たバランスが何とも不自然(最近のプジョークーペ407もそうだ)。それとバランスさせる
ためにリアボリュウムの稼げるハッチバッククーペスタイルとした(これまた最近ではアルファブレラがこの手法をとっている)。さしず
めアバントなるアウディ独自のバリエーションはその進化系だとみることもできる。
もちろん、走行性能的にもネガティヴが出よう。物理の原則に照らしてみても、重量物が“軸”より外側にあっていいことなどほとんど
ない。ポルシェ911のように、故に半世紀に渡って“誰も挑戦しない”進化を続けるつもりがあるなら別だが。
というわけで、第8世代(B8)のアウディA4 とそれをベースとしたクーペモデルのA5には、ドライブシャフトの位置をクランクケース下
におよそ100ミリ前進させることで前軸をほぼエンジン重心あたりとすることに成功した新設計のMDSプラットフォームが採用されている。
これによりフロントオーバーハングが詰まり、ほとんどFRのようなバランスのクーペスタイルを手に入れることができた。キャビン位置を
不自然にすることなく、流麗なルーフラインを描くことができたのも、すべては前軸位置前進のおかげであろう。ちなみに、スタイリング
はワダサトシ氏。
A4より一足お先に日本市場へとやってきたのは、3.2L V6FSI+CVT(マルチトロニック)+クワトロを搭載するグレードだ。
まず感心したのが内外装の見た目、質感の高さだった。モダンアウディお得意の分野とはいうものの、いわゆる欧州Dセグメントモデルに
おいては随一、否ひょっとしてEセグメントの高級ブランドに迫る質感であると言っていい。特にインテリアだ。デザインやマテリアルは
好みの問題だが、こう隙無くまとめられると正直他ブランドはつらい。同クラスのクーペモデルにおいては最大級の評価を与えていい。私
がオーナーなら色気のあるコーディネーションを選ぶ。カタチや材質選びがいかにもアウディ然として硬質かつ冷静だからだ。
どっしりと路面を抱え込むかのような走り味に、もはや悪い意味でのFFっぽさを感じることはない。動きは常にフラットでリニア。取り
回しの良さに至ってはアウディ史上最高である。
基本的には最近のアウディらしく、節々の効いたリズミカルな走りを身上とする。ただしこれまでのモデルよりもしなやかさが感じられ
、その心地よさはA8にも匹敵するものだった。
新プラットフォームの印象は総じて良かったが、だからといってFR車のように“自ら曲がる先を積極的に決めて気持ちよく走る”という
ほどではない。やはりそこには物理の原則が生きている。実は曲がっていないのに曲がったように見せかけるのが上手だった以前のアウデ
ィハンドリングとは一線を画するものになったとだけ言っておく。
SPECIFICATIONS(3.2FSI Quattro)
PRICES:6,950,000yen
DRIVE SYSTEM:4WD
TRANSMISSION:6AT
LENGTH:4625mm
WIDTH:1855mm
HEIGHT:1375mm
WEIGHT:1670kg
WHEELBASE:2750mm
SEATS:4
ENGINE:V6 DOHC
DISPLACEMENT:3196cc
POWER:195kW(265ps)/6500rpm
TORQUE:330Nm(33.7kg-m)/3000-5000rpm
USE FUEL:PREMIUM
TIRES:245/40R18
文/西川 淳 写真/向後 一宏











