AUDI RS6 AVANT アウディRS6アバント
これぞ5ドアポルシェターボ
アウディの最強モデルRSシリーズは93年にデビューした“RS2”(開発・生産をポルシェが担当)にはじまる
そして99年に“RS4”そして03年に初代“RS6”が登場している。そのRS6が2代目へと進化した
そこには複雑な戦略も秘められた思惑も、難しいことは何もないのだと思われた。開発と製造と担うクワトロGmbHのエンジニアと話
をしていても、質問に対する答があまりにストレートで純粋だ。ただただ世界最速のワゴンを造ってやったぞ!という思いの丈だけが伝わ
ってくるのだった。
アウディRS6。92年のRS2を始祖とするアウディパフォーマンスの最高峰シリーズ最新作。昨年のフランクフルトショーにてデビューを果
たし、東京ショーにやってきたのは記憶に新しい。私にとっては主役のA4&A5よりも強烈な印象を抱かせてくれた、ショー最高のアウディ
だった。
一刻も早く触ってみたい。その機会がとうとうやってきた。処は南仏ポールリカールサーキット。今やテストコースとして世界有数の設
備を誇るこのサーキットにおいて、RS6のハンドルを握ることが許されたのだ。ピットレーンに約10台、ズラリと居並ぶ青と赤のRS6。不適
な面構え、迫力のフェンダーライン、路面に響くV10協奏曲。
乗る前から興奮させられているうちに私の順番が来た。オプションのレカロにカーボン内装。低い位置に尻を降ろす感覚がツーリングカ
ーっぽくっていい。平底のがっしりとしたグリップをもつハンドルを握りしめ、合図と同時にいざスタート。いきなりフルスロットルをく
れてやる。
ギュゥインとエンジンが機械的にねじ込まれて力を発散する。棚引くサウンドは10気筒に特有のうねり音を伴うもの。580PSの加速に恐怖
するかと思いきや、その安定っぷりに逆に驚かされた。乗る前、あれほど昂っていた気持ちがすーっと引いてゆく。あくまでも冷静にハン
ドルを握る自分が見えてくるようだ。もちろん、速度は尋常ではない。それでも2トンを超える塊で200キロ近い速度で走っているという事
実を恐怖として受け取ることができない。超安定的高速志向GT。
サーキットをぐるぐる回って楽しむべきクルマでないことは、コーナーを2つ3つクリアしていくうちに判る。あくまでもアンダーステア
。アウディにありがちな“曲がったように見せる”感覚すら乏しい。ハンドルの手応えは常に一定だ。
こう書くと随分つまらないクルマのように聞こえるかも知れないが、本領を発揮するのはサーキットではないということ。30km/h以上で
やたら重くなるハンドルに辟易しながら田舎道を抜けてオートルートに入ると、そのことは明確となった。
何とも穏やかで安定した高速クルージングを見せてくれることか!クルマもそうだが、乗り手もそう。その加速、高速巡航、減速、ゆる
やかなコーナリング、追い越し、レーンチェンジ・・・すべてにおいて速くスムースで安心。余計な神経をドライバーに使わせまいとする
クルマ側の配慮を感じずにはいられない。もっとも、この顔で迫られ先を譲った先行車の遣い手は、疾風のごとく爆音とともに抜き去った
アウディが単なるアバント(に見えるだろう)だと判って驚愕するだろうが。
お金持ちのスーパーGTとしてこれ以上の存在はないだろう。これぞ5ドアポルシェターボだ。
SPECIFICATIONS(RS6 AVANT EU MODEL)
DRIVE SYSTEM:4WD
TRANSMISSION:6AT
LENGTH:4928mm
WIDTH:1889mm
HEIGHT:1460mm
WEIGHT:2500kg
WHEELBASE:2025mm
SEATS:5
ENGINE:V10 DOHC TWINTURBO
DISPLACEMENT:4991cc
POWER:426kW(580ps)/6250-6700rpm
TORQUE:650Nm/1500-6250rpm
USE FUEL:PREMIUM
TIRES:255/40R19
文/西川 淳 写真/アウディジャパン











