AUDI A8 アウディA8
静粛性、乗り心地、すべてに進化した熟成のアルミボディ
世界的に好調なセールスを誇るアウディの新生フラッグシップ。S、7、LSとライバル多きこのカテゴリーで躍進なるか
■島下泰久の見解
まるで歌舞伎の隈取りのようなLEDのヘッドランプこそインパクトは大きいが、その外観はコンサバな印象を受ける。しかし実は中身の進化は著しいのが、約6年ぶりに刷新されたアウディの旗艦、A8だ。
よく見れば従来より全体に抑揚に富んだボディは、全長が約80mm、全幅も約50mm拡大されている。注目は、それでいて重量をまったく増やしていないという点。最新のオールアルミ製ボディが実現した、4.2FSIクワトロ本国仕様の1835kgの重量は現行モデルと同等なのだ。また、Cd値0.26という空力性能もセダンとしては驚くべきものだと言える。
インテリアもやはり一見、あまり代わり映えはしない。しかしキャビン一周をアーチのように囲む造形、シンセティックレザー張りのダッシュボード等々、ディテールのすべてが一段と凝ったものとされている。
なかでも新採用のMMIタッチは目をひく。ダッシュボード下側に移されたMMI操作部の脇にはタッチパッドが用意され、目的地などは手書き入力できる。もちろん日本語対応。中国語も韓国語もオッケーだそうだ。
肝心な走りも、これがなかなか鮮烈な印象を与えてくれた。まず圧倒的に静か。風切り音を筆頭に、ロードノイズやエンジン音も非常によく抑えられている。アルミボディ特有の振動感が完璧に抑えられているのも効いているに違いない。
そうなれば、もちろん快適性も上々。ボディの高い剛性、ダンパーの内部フリクションを低減したというエアサスペンションも相まって、これまで得られなかったしっとりとした乗り味を実現している。反面、従来のような異様なほどの軽快感は形を潜めた感もあるが、その質の高い乗り味は、まるでクルマが小さくなったかのようにリニアリティが増したフットワークも含めて、まさしくポジティブな進化と言えるはずだ。
日本仕様が積むV型8気筒4.2LFSIユニットは硬質で気持ちの良い吹け上がりを見せる。8速ATのレスポンスも鋭く、小気味よく、かつ快適な走りを楽しめる。もちろんエンジンラインナップは追々拡充されるはずである。またロングボディも用意されるだろう。
快適性も走りも、この新型A8の跳躍の幅は大きい。好調アウディとは言え、このセグメントの攻略は簡単ではないが、それでも今よりさらに街で見掛ける機会は増えるに違いない。
ただし、日本導入はもう少し先。来年前半の予定である。
SPECIFICATIONS (4.2FSI quattro)
DRIVE SYSTEM:4WD
TRANSMISSION:8AT
LENGTH:5137mm
WIDTH:1949mm
HEIGHT:1460mm
WEIGHT:1860kg
WHEELBASE:2992mm
SEATS:5
ENGINE:V8 DOHC
DISPLACEMENT:4163cc
POWER:273kW(372ps)/6800rpm
TORQUE:445Nm/3500rpm
TIRES:235/60R17






