ASTON MARTIN V12 VANTAGE アストンマーティン V12ヴァンテージ
コイツは本気のスーパーカーだ!
ヴァンテージの小さなボディに6LV12を押し込んだメーカー製の改造車。それはAMGともMとも違う独特の魅力がある
■吉田 匠の見解
V8ヴァンテージのボディに、V12エンジンを収めたV12ヴァンテージ。それは英国貴族のアストンマーティンが生み出した爆弾のようなクルマだ。
つまり、全長4380×全幅1865mm、ホイールベース2600mmというコンパクトな2座クーペボディのフロントから4.7LV8を降ろし、代わりに6LV12を押し込んだのがV12ヴァンテージなのだ。
しかもこのV12ヴァンテージのボディは、全高がV8より低められているだけで、幅も広げられていない。タイヤはV8と同じ19インチ径ながら前後ともワイド化されたピレリPゼロ・コルサを履くが、オーバーフェンダーさえ与えなかったところに、英国上流階級好みの控えめな趣味が垣間見える。
とはいえそのボディ、拡大されたフロントエアインテークの下からカーボン製リップが突き出し、ボンネット上面には大胆にエアアウトレットが開けられ、リアバンパー下のスカートの形状もV8よりも迫力を増すなど、やはり只者ではない。
さらにそのコックピットも、バックレスト固定式のバケットシートが2脚セットされた、正調「男の仕事場」だった。しかもそのコンソール上には、ゴツいシフトレバーが立ち上がる。このクルマ、2000万円オーバーの超高価格なのに、3ペダル6段MTのみの設定なのだ。
エンジンを叩き起こし、覚悟したほど重くないクラッチペダルを踏んでシフトを1速へ。6LV12は、DBSと同じ517psと58・4kg-mを発生、V8より50kgしか重くなっていない1680kgの車重を走らせるが、低速トルクの太いブリティッシュエンジンの強みで、都会の雑踏ではゆっくり流すことも無理なくやってのける。
だがその一方で、高速道路や空いたワインディングに出てスロットルを踏み込むと、自分がV12エンジンと一体化してカッ飛んでいくかのような、強烈な加速を振る舞ってくれる。
と同時にそのシャシーも好ましい二面性を備えていた。街中では、獰猛な外観からは想像もできないほどスムーズで快適な乗り心地をもたらす一方、ひとたび峠の屈曲路に出撃すれば、ブリティッシュスポーツらしいある種の繊細さを実感させながら、フロントヘビーを感じさせぬバランスのいい姿勢を維持して鋭く駆け抜けていく。
本当にスポーツカーが好きな男のためだけに創られたアストンの爆弾、敢えて同類を探せばPのGT3系か、Fのチャレンジストラダーレあたりか。
SPECIFICATIONS(V12 Vantage)
PRICE:21,735,000yen
DRIVE SYSTEM:FR
TRANSMISSION:6MT
LENGTH:4380mm
WIDTH:1865mm
HEIGHT:1241mm
WEIGHT:1680kg
WHEELBASE:2600mm
SEATS:2
ENGINE:V12 DOHC
DISPLACEMENT:5935cc
POWER:380kW(517ps)/6500rpm
TORQUE:570Nm/5750rpm
TIRES:255/35ZR19 295/30ZR19






