PORSCHE 911 TURBO / CABRIOLET ポルシェ911ターボ/カブリオレ(パート2)
直噴、PDK、PTV…まさに新世代ターボの誕生(パート2)
見た目以上にその中身は大変化。35年のポルシェターボの歴史においてエポックなモデルとなる
■吉田 匠の見解
他の911の大半と同様、ターボも997後期型に移行した、というのが今回のモデルチェンジの概要だが、その変化の内容は驚くほど劇的だった。
まずエンジンの基本が変わった。最初の水冷モデルたる996以来、ターボのエンジンは空冷の方式を受け継ぐ通称「GT1クランクケース」ユニットをベースに使ってきたが、997後期型に至ってついにそれが変わった。現行カレラSなどと同じ、一体式クランクケースを持つ直噴3.8Lフラット6をツインターボで過給したエンジンが、搭載されたのである。
結果、重量軽減、さらなる低重心化などが達成された他、従来の3.6Lと比べて20psアップの500psと30Nmアップの650Nmを手に入れた。
それと同時に、2ペダルトランスミッションも激変した。従来型の5段ティプトロニックSから、カレラ系などと同様の7段PDKに変わったのだ。もちろん選択肢の基本に6段MTがあるのはいうまでもない。
動力性能の代表的なデータは、PDK仕様で0→100km/h加速3・6秒、最高速312km/hと、向上している。
シャシーも当然のごとく進化しているが、そのなかで代表的なのは、PTV=ポルシェ・トルクベクトリングなるシステムがオプション装着可能になったことだろう。これは機械式LSDとのコンビでコーナー内側後輪に作用、アンダーステアを軽減する効果を発揮する。
PDKの場合、従来型のスイッチではなく、通常のパドルによるマニュアルシフトを可能にするステアリングがオプションで用意されたのも、重要なポイントのひとつだといえる。
ポルトガルを舞台とし、公道とエストリルサーキットの両方を走った国際試乗会では、新型の進化ぶりが確認できた。
加速は回転の全域でますます力強くなり、PDK仕様ならそれをいつでもイージーに味わえる。しかもシャシーも確実に進化しているから、その鮮烈なパフォーマンスを危なげなくエンジョイできるのがいい。
試乗車にはクーペとカブリオレがあり、公道での乗り心地ではカブリオレがリードする一方、サーキットで挙動を正確にコントロールするには、剛性の高いクーペボディが圧倒的に好ましいことが実感できた。
ポルシェの常で、またもや最新は最良だったといえる。だがその一方で、GT1クランクケースエンジンの雄叫びを懐かしむ、ディープなマニアがいるの
も忘れてはならないと思う。






