PORSCHE 911 TURBO / CABRIOLET ポルシェ911ターボ/カブリオレ(パート1)
直噴、PDK、PTV…まさに新世代ターボの誕生(パート1)
見た目以上にその中身は大変化。35年のポルシェターボの歴史においてエポックなモデルとなる
■渡辺敏史の見解
74年の登場以来、最速級のスポーツカーという称号を誇示し続けてきた「ポルシェターボ」。997後期ともいえるこの新型で遂にその初代から続くM64系エンジンの完全刷新が敢行された。
新型ターボのエンジンユニットは全く新しいクランクケースを持つ直噴世代のそれがベースとなり、排気量は3・8L。可変タービンジオメトリーのツインターボは先代比20ps増しの500ps、30Nm増しの650Nmを発揮する。それらをエンジン本体の圧縮比向上及び過給の低圧化で達成し、低中速域のドライバビリティ向上と省燃費化を伴っていることがポイントだ。その一端を示す数字として、0→100km/h加速は7速PDK仕様で世界最速級となる3.4秒をマークする一方、CO2排出量は先代より58g減の268g/kmと、実質先代比で15%近い燃費低減が図られている。
シャシー側のトピックはポルシェ・トルクベクトリングシステム=PTVの採用だ。これは後輪機械式LSDの差動に加えて、コーナー内輪のリアブレーキを一時的に摘むことによってアンダーステアの抑制と旋回性向上を促すもので、PASMやPSMとの協調制御機能も備えている。PTVに関しては電子。制御LSDによる外輪側の増速機能も検討されたが、リア側の25kgに及ぶ重量増をよしとしなかったという。その言葉を裏付けるでもないが、結果的に新型ターボは前型に対し、車体総合で15~25kgの減量を果たした。
試乗の大半に供された7速PDKはその強大なトルクをものともせず、常にカチッとした手応えで駆動力を全輪に伝えていく。30度に迫る気温の中、サーキット走行を何十周と繰り返しても全く音を上げる気配はない。それはエンジンも同様で、水温は常にピタリと安定していた。そのタフさに感心しながらも圧倒されるのは低回転域からモリモリと沸き上がるフラットなパワー感だ。新型エンジンの搭載でターボのキャラクターはより全域GTとしての傾向が高まったといえるだろう。乗り心地はもはやスポーツサルーン同然というレベルにまで洗練された。これはアクティブエンジンマウントによる振動や反動の抑え込みも大いに貢献しているものと思われる。そしてサーキット走行でのマナーはリアエンジンの癖を旨味として最大限に引き出しながらも終始安定した挙動が印象的なものだ。ポルシェの最速は単に速さのみをやみくもに追求するものではない。その完成度は、何かに対する反論のようにも思えるものだった。
SPECIFICATIONS(911Turbo)
DRIVE SYSTEM:4WD
TRANSMISSION:7PDK
LENGTH:4450mm
WIDTH:1852mm
HEIGHT:1300mm
WEIGHT:1570kg
SEATS:4
ENGINE:FLAT6 TWINTURBO CHARGED
DISPLACEMENT:3800cc
POWER:368kW(500ps)/6000rpm
TORQUE:650Nm/1950-5000rpm
USE FUEL:PREMIUM 67L
TIRES:235/35ZR19:305/30ZR19






