ボルボ XC60
もう“いい人”なだけじゃ生きられない?
世界で一番売れているSUVといえば、ボルボのXC90。その弟分にあたるXC60が満を持しての登場だ
BMWX3、MベンツGLK、アウディQ5…競合ひしめく市場でボルボが打った手とは
遂に禁断の世界に入ってしまったか…。『ボルボ』と言えば昔から一貫して“いい人”キャラのクルマだった。80.90年代に活躍した240や740などの四角いモデルはもちろん、最近のスタイリングに目覚めたV70やV50などもそう。見た目は依然として華やかさよりもマジメさが勝ってるし、走りは速さや気持ちよさよりも安定性やダルさ重視。だが、もはやそういう戦略ではこの厳しい世の中を凌いではいけないと判断したようだ。結果生まれたのがこのXC60。そう、新しいミディアムサイズのSUVである。
スタイリングは一見すると上級SUVのXC90の縮小版。今まで通りにサイドにショルダーが力強く張り出し、横長四角のフロントグリルを使っている。が、よく見るとかなり違う。グリルはより大きな逆ホームベース形になってるし、ヘッドライトもより立体的なハデめなカタチ。そしてなによりも全体のフォルムは真横から見るとかなりスポーティなクサビ形。が、それでも見ただけでは「イメチェンしたのかな?」ぐらいだった。
が、乗り込んで走り出すと確信した。「こりゃ完全に方針を変えたな!」と。XC60のプラットフォームは現行S80やV70と基本的に共通でランドローバー・フリーランダー2とも同じ。だが、チューニングはかなり異なっており、乗り心地はしなやかだし、ステアリングは軽くヴィヴィッド。今までの禁欲的な感じは一切しない。
エンジンも今回スウェーデンで乗ったのは最速グレードのT6で、3ℓ直6ターボを搭載したAWDモデルなのだが、これが285馬力という最高出力以上に享楽的。どうやらアクセル開度に対し、過剰な早開き設定にしているらしく、ちょっと踏んだだけでグワーッと出てしまい、吹けもやけに軽い。とてもボルボとは思えないのだ。
そして試乗した後にエンジニアに聞いたら驚くべき答えが返ってきた。かなり方針を変えましたね? と聞いたら「YES」。今後もこの路線で行きますか? と聞いたらニヤっと笑って「YES」。もちろんXC60が成功するか否かにもよるが十中八九、今後もこの路線で行くらしいのだ!
背景には一人の重要人物が関係している。今のボルボには、ダイムラーから移籍してきたスティーブ・マッティンという開発担当重役がおり、彼が商品の方向を決めている。そしてXC60は彼が3年前に赴任してきて、イチから担当した初のモデルなのだ。要するにこれが密かに進行していた“新生ボルボ”の第1作なのである。
私はこの話を聞いた時、遂にボルボも禁断の世界に踏み出してしまったな…と思った。ご存じ今のプレミアムカー界は、どのブランドも快楽路線。デザイン、走りそのほかで二言目には「エモーショナル」というキーワードが出てくる。というか、もはやエモーショナルで無ければこの手は生き残れないのだ。もちろん新型XC60そのものも非常に出来がいい。ヘタするとBMW X3や今後出てくるアウディQ5をも凌ぐ部分すらある。が、同時に物凄いシビアなテイスト勝負の世界に入ってきたなと思わされたのである。
SPECIFICATIONST(T6 AWD)
DRIVE SYSTEM:4WD
TRANSMISSION:6AT
LENGTH:4628mm
WIDTH:1891mm
HEIGHT:1672mm
WEIGHT:1825kg
WHEELBASE:2774mm
SEATS:5
ENGINE:INLINE6 TURBOCHARGED
DISPLACEMENT:2953cc
POWER:210kW(285ps)/5600rpm
TORQUE:400Nm/1500-4800rpm
USE FUEL:PREMIUM












