マセラティ クアトロポルテS
スポーツというより洗練、紳士的のS
デビューから5年目の今年、クアトロポルテがマイナーチェンジを迎えた。標準車は従来モデル同様
400馬力の4.2.V8を搭載、そして430馬力の4.7.V8を積んだ高性能バージョンの"S"が追加されている
日本市場でも前年比で2割増という成長を続けているマセラティ。年間生産台数は7000台超に達し、08年度は9000台オーバーを目指すというからまさに右肩上がりの勢いを示している。
その躍進の象徴となっているのが03年に世界デビューを飾った5代目のクアトロポルテだ。先代のガンディーニからピニンファリーナへと移ったデザインは、初代のそれをソースとして血統の強さを訴えながらも端々はモダンに処理されている。メルセデスのSクラスに代表される車格と居住性をもちながらもクラシカルなその佇まい、そしてパワートレーンの明快な存在感とシャープなドライバビリティ、そういったところが市場での個性として評価されていったといえるだろう。そしてその快適性をさらに高めるべく07年にはZF製の6速トルコンATミッションのモデルが追加され、それがアメリカを中心に人気を博したことが彼らの躍進の下支えとなったことも想像に難くない。
そして迎えたデビュー後初めてのビッグマイナーチェンジ。3つのトピックのうちのひとつはシーケンシャル式のトランスミッション「デュオセレクト」が消滅したことだ。トルコンATの追加後は、生産全数のうちの5%程度しか需要がなかったという状況をマセラティの経営陣は重視したのだろう。実際、この6速ATは積極的なギアチェンジにも対応できる連結感のタイトな設定になっており、既存のデュオセレクト仕様ユーザーの間でも総じて評判は良いようだ。
2つめのトピックは従来の4.2.V8に加えて、グラントゥーリズモと仕様を共有する4.7.のV8が投入されたことだ。最高出力が430psとなるこのエンジンに加えて、専用設定のスカイフックサスペンションやブレンボの6ポッドモノブロックブレーキシステム等が与えられたグレードが、今回試乗したクアトロポルテSとなる。
そして最もわかりやすい3つめのトピックが内外装の変更となる。45mmの拡大となった全長は前後のバンパー意匠の変更によるもので、グリルも今までの横ルーバー型からグランツーリスモと同様の縦ルーバー型に変更になった。また、前後の灯火類はLEDが多用されアピアランスを新鮮なものにしている。内装もクアトロポルテSには専用設定のシートが用意されるほか、日本仕様では両グレードにボーズ製のタッチコントロール式マルチメディアシステムが標準搭載される予定だ。
Sという称号から受ける荒々しいイメージとは異なり、クアトロポルテSのドライバビリティは実に洗練されたものだった。音振特性を含めた乗り心地は前型比で明らかに向上をみており、低速トルクが一気に高まったエンジンはそのサウンドも紳士的にしつらえられている。ここ一番のキレ味では標準グレードに若干譲るきらいはあるが、トータルのパッケージでみれば高い運動性能を誇る生粋のスポーツサルーンであることになんら変わりはない。標準車かSか。意外にも、じっくり乗り比べて決める価値のあるキャラクター設定がなされている点が印象的だった。
SPECIFICATIONS(S)
DRIVE SYSTEM:FR
TRANSMISSION:6AT
LENGTH:5097mm
WIDTH:1895mm
HEIGHT:1438mm
WHEELBASE:3064mm
SEATS:4
ENGINE:V8
DISPLACEMENT:4691cc
POWER:317kW(430ps)/7000rpm
TORQUE:490Nm/4750-7200rpm












