メルセデス・ベンツSLクラス
ロードスターの帝王、健在
SLが7年ぶりのビッグマイナーチェンジ。フロントマスクの1本ルーバー、エアアウトレット
フロントエアドームなど初代300SLをモチーフに外観を一新、そしてその中身は見た目以上に進化を遂げている
02年デビューのR230型SLクラスが初のビッグマイナーチェンジを受けた。
真正面から見ると、“フルモデルチェンジか?!”と思うほどマスクが変わったが、外観ではそれがハイライト。
それよりも注目すべきはエンジン&パワートレインである。特に、日本市場においては最廉価グレードとなるSL350と、SL55AMGに代わるイメージリーダーカーになるであろうSL63AMGの2モデルに注目したい。ちなみに、その他のグレード、つまりSL550、SL600、SL65AMGに関しては、パワートレイン系を特にイジッた形跡はない。
個人的に最も感銘を受けたのが、SL350だった。
このモデル、オープンにして走っているときの乗り心地と気分の良さは、現メルセデスラインナップの中でも1、2を争うんじゃないかと思う。
もちろん、ハードルーフクローズドでは、高級クーペらしい走り味をみせてくれるが・・・。
とにかく、あまりのライドフィールの良さに、鳥肌ならぬ手足が粟立つほどだった。
すべての動きが自然でスムーズ、驚くほど乗り手に忠実である。
しかも、これまで6気筒のSLクラスといえば、車両バランスは優れるけどパワー不足が欠点だと言われ続けてきたが、新型ではついに300HPオーバーのパワーユニット、つまりは一昔前のV8並みのパワーを手に入れた。これに7Gトロニックが組み合わされたから、不満などあろうはずもない。
実際、高回転型にセッティングされた新V6エンジンは心地よいサウンドとともに抜けるように回り、十二分のパワーを路面へと伝達しながら、極めて真っ当な高性能車フィールを味わわせてくれる。
これが、廉価グレードというところが凄い。
初期受注の4割をSL350が占めていると聞いて、さすがSLクラスを選ぶ人は知っていらっしゃると、思わず感心してしまった。もはや、V8モデルをあえて選ぶ理由が、ステータス以外に見つからない?
SL63AMGも、4割を占めるというから早くも人気のグレードで、コンプレッサーのド迫力パワーで一世を風靡したSL55を立派に引き継いだ。
AMG初のオリジナル開発エンジン、6.2.V8を積んだことが最大のニュースだが、これに組み合わされたミッションにも注目である。AMGスピードシフトMCT(マルチクラッチテクノロジー)と呼ばれるもの。
MCTという言葉から流行りのダブルクラッチを想像する方もおられようが、れっきとしたシングルクラッチシステム。7Gトロニックの
ギアボックスはそのままに、トルコンの代わりに湿式マルチプレートのクラッチを積んだもの。
油圧の制御で自動変速としている。
ホントに大丈夫か?という心配は杞憂に終わった。
走り始めや渋滞前進、バック駐車などにおけるマナーも問題なく、ギクシャクしない。
そして、大排気量自然吸気ユニットを手に入れたSL の走りは、豪快かつ爽快である。
空気ある限りほとばしるパワーはもちろん、音も素晴らしい。
気の利いた電子制御もスポーツ派には嬉しいだろう。
万能スポーツカーにしてロードスターの帝王、健在。
上下モデルを試すだけでそう確信した。
SPECIFICATIONS(SL63AMG)
PRICES:19,100,000yen
DRIVE SYSTEM:FR
TRANSMISSION:7AT
LENGTH:4600mm
WIDTH:1820mm
HEIGHT:1300mm
WEIGHT:1990kg
WHEELBASE:2560mm
SEATS:2
ENGINE:V8 DOHC
DISPLACEMENT:6208cc
POWER:386kW(525ps)/6800rpm
TORQUE:630Nm(64.2kg-m)/5200rpm
USE FUEL:PREMIUM
FUEL CONSUMPTION(10・15 MODE):4.7km/リットル
TIRES:255/35R19 285/30R19












