自分が体験していることが“真実”とは限らない
自分が体験していることが“真実”とは限らない
1962年生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、『ハゲタカ』(ダイヤモンド社/講談社文庫)でデビュー。
著作に『虚像(メディア)の砦』(角川書店/講談社文庫)、『マグマ』(朝日新聞社/朝日文庫)、『バイアウト』(講談社/講談社文庫 ※文庫版は『ハゲタカⅡ』に改題)など。
経済小説の枠を越える、優れたエンタテイメント小説の書き手として注目を集める。
2007年に放映されたNHK土曜ドラマ「ハゲタカ」は『ハゲタカ』、『バイアウト』が原作となっている。
今年7月、北京五輪と原発を舞台にした最新作『ベイジン』を上梓。
http://www.mayamajin.jp
真山さんが初めて中国を訪れたのは2005年。それまでイメージしていた中国と、現実はあまりにも違っていた。「日本のメディアを通じて知る中国の姿はほんの一部でしかない」という衝撃が小説『ベイジン』を生んだ。
「日本人と中国人は顔も見た目も似ているけれど、持っている価値観がまったく違う。例えば、日本人にとって謙遜は美徳とされますが、中国では『へりくだるということは、何か負い目があるはずだ』と判断され、相手にされなくなってしまう。もしかしたら、我々は勝手に『近い国』だと思いこんでいるだけなのではないかと強く感じたんです」
作中に登場する党上層部の腐敗や権力闘争、富裕層と庶民の格差などのディテールは虚実の境目がわからないほどにリアル。だが、真山さんが執筆を決めてから中国に滞在したのは延べ20日足らずだった。
「長期間滞在していれば、また違う物語になったかもしれません。でも、自分の見たことがすべてではないし、短期間の滞在だからこそ、そこに漂う“空気”を敏感に感じ取れるという側面もあると思うんです」
物事を見る際、真山さんが注目するのは共通点ではなく、相違点。取材期間中は、ひたすら現場に流れる“空気”を感じ、同時にそこで感じた“違和感”が普遍的なものなのか、それとも単なる例外なのかというヒアリングを重ねたという。




