"新解釈"に出会える3冊
"新解釈"という刺激に興じる
意見を求められて、ありきたりなコメントしかできないのは、いかにもつまらない。とっさに気の利いたことを言えるのは、大人の余裕であり、たしなみだといえるだろう。そこで、今回は「"新解釈"に出会える3冊」を紹介したい。
決してモテないわけではないのに、恋愛やセックスに消極的な"草食男子"。その正体を動物行動学の観点からひもとく『草食男子0・95の壁』。著者の竹内久美子氏によると、「草食系男子は生物的に正しくない」という。「動物の世界ではメスがオスを選ぶのが常識」であり、「男は女に選ばれるために必死に自己をアピールし、女を口説かなければ繁殖に成功しない」のが、その理由だ。
なぜ、草食男子は増えたのか。この本では、チンパンジーの繁殖スタイルや、ツバメの尾羽の長さと浮気の成功率の関係など、さまざまな事例を取り上げ、草食化という"退行"の謎に迫る。
さらに、本書には「草食を装っているが、本質は肉食」の判別法も登場する。薬指の長さに対する、人差し指の長さの比率を計算。その「指比」から、「優れた遺伝子を持つ男である可能性」を推測できるという。自分はもちろん、周囲の行動に対する興味も喚起する、好奇心をかき立てる一冊だ。
『共在感覚』。誰もいない広場に向かって延々と語り続けるザイール・ボンガンドの人々。一方、多数の人々が同時に話すバカ・ピグミーの文化も登場する。
著者はアフリカにおけるフィールドワークを通じて、コミュニケーションのあり方をとらえ直す。母集団が異なると、会話のスタイルや行動はガラリと変わる。そこには、最近、何かと話題のTwitterとの共通項も見てとれる。"双方向性"の深淵に触れる一冊でもある。
『盗聴 二・二六事件』。NHKライブラリーから発掘された、古びた録音盤。それは二・二六事件の首謀者とされる、青年将校たちの電話を傍受・録音したものだった。著者は録音盤に刻まれた声を手がかりに、事件の真相に迫る。30年来にわたる取材が浮き彫りにする"新事実"とは――。ひとつひとつ裏を取る。その気が遠くなるような作業の先に、新たな発見があると、この本は教えてくれる。
着眼点や手法、そして発想の連結力。それらは次々と新たな解釈を生み出す。そして、新解釈を見出すことは、自らの可能性の地平を拓くことにもつながるのだ。
今週のEDGEな3冊
『草食男子0・95の壁』
著・竹内久美子 文藝春秋 /1000円
『共在感覚』
著・木村大治 京都大学学術出版会 /3990円






