EDGE Book Sensor~慈雨の恵みに感謝したくなる3冊
自ら「上機嫌」をつくり出す。それが大人だ。
梅雨時にご機嫌で過ごすのは案外難しい。湿気のこもった通勤電車、濡れた傘はイヤがおうにも憂鬱な気分をかきたてる。だが、その雨がもたらしてくれるものは思いのほか多いのだ。今回は「慈雨の恵みに感謝したくなる3冊」を紹介したい。天気が悪い日だからこそ味わえる愉しみがある。そう教えてくれるのは『楽しい気象観察図鑑』。この本に登場するのは「雷雲の上で起きる謎の発光現象」や「霧に映る人影」、「気温が氷点下でも湖が凍らない理由」といった、不思議な気象現象の数々。写真集も顔負けのカラー写真が約200点も収録されており、ビジュアルブックとしても愉しめる。その美しさは思わず、ページをめくる手が止まるほどだ。
また、素晴らしいのはビジュアルだけではない。高校教諭であり、気象予報士でもある著者が科学的なアプローチでひもとく、気象現象の秘密。その解説はわかりやすく、専門知識がまったくなくても、存分に楽しめるはず。見慣れたはずの空の"違う顔"に出会える一冊だ。
『ムラセ係長、雨水で世直し!』。東京都・墨田区の現役職員にして、"ドクトル雨水"の異名をとる村瀬誠氏と、その仲間たちによる"世直し"の軌跡。
初めて手がけた雨水利用施設は新国技館。渋る日本相撲協会を口説き落とし、巨大な雨水タンクを設置した。その後も、台湾、韓国、バングラディシュなど、国内外に活動のフィールドを広げているという。"大風呂敷"を実現し続けてきた男のバイタリティに圧倒される。
『もやしもん』。言わずと知れた大人気マンガ。人気麹菌から納豆菌、風邪のウイルスまで、さまざまな"菌"を擬人化し、醸造や発酵のドラマをコミカルに描く。湿気があることで菌は育ち、その恩恵を享受していることを痛感する。読むほどに菌たちのキュートさがじわじわ効いてくる一冊だ。
視点をちょっと変えるだけで、目に映る世界はガラリと変わる。その視点が増えれば、人生を愉しむ幅はおのずと広がっていくはずだ。
今週のEDGEな3冊
『楽しい気象観察図鑑』
著・武田康男 草思社/1995円
『ムラセ係長、雨水で世直し!』
著・秋山真芸実 岩波書店/2310円







