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EDGE Book Sensor~なぜ今、太宰なのか?に触れる3冊

Hatenaブックマークに追加 この記事をクリップ! 2009/06/09

ファンならずとも、太宰作品を手に取りたくなる3冊

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今月19日に生誕100年を迎える作家・太宰治。『ヴィヨンの妻』『斜陽』『パンドラの匣(はこ)』の3作品が相次いで映画化されるほか、その作品や生涯がマンガやドラマなどのモチーフとしても取り上げられるなど、脚光を浴びている。今回は「なぜ今、太宰なのか? に触れる3冊」を紹介したい。

繊細で破滅的なイメージとはまた違う、太宰治に出会えるのが『太宰と安吾』。太宰と親交が深かった作家・壇一雄が、その思い出をつづったエッセー集だ。
家庭を顧みず、酒をあおり、小説を書くという"無頼派"たちの生活ぶり。
暮らしそのものは行き詰まっていたはずなのに、そこには不思議な明るさがあるのだ。

この本には、壇が太宰に"ツケ"とともに、旅館に置き去りにされた「熱海事件」が登場する。太宰の代表作『走れメロス』の主人公は、友人の命を救うために戻ってきたが、太宰は戻ってこなかった。そしてあまりの仕打ちに激怒する壇に、「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね」と弱々しく反撃したという。

壇曰く「私の好きな太宰は、大はしゃぎで、茶目で、絶えず軽口を撒き散らす、太宰の屈託のない時間である」という。この本を読むと、繊細でロマンチックで、屈託の権化のようなイメージとはまた違う太宰の素顔が見えてくる。

『太宰治の四字熟語辞典』。作品内に登場する「自縄自縛」や「功言令色」、「前後不覚」、「天衣無縫」などの四字熟語から、太宰作品を読み解く。著者によれば、最近頻繁に使われているのは「一生懸命」。次いで「四方八方」、「自己弁解」、「自己嫌悪」と続くという。四字熟語の意味や背景はもちろん、登場する作品も解説されている。太宰作品が持つ独特の世界の水先案内人になってくれそうだ。

『ピカレスク』。副都知事に就任し、話題になった作家・猪瀬直樹による太宰治伝。遺書に書かれていた「井伏(鱒二)さんは悪人です」という一文に着目し、膨大な資料をもとに、井伏・太宰の師弟関係を洞察する。"悪漢"であり、「生きようとする太宰治」という、従来のイメージとはまったく違う太宰に出会える一冊でもある。

"話題"に飛びつくのは気恥かしさを伴う。しかし、そんな軽はずみな行動が新たな世界を広げてくれるのだ。

文・島影真奈美 text/SHIMAKAGE Manami
写真・嘉川ニ奈 Photo/KAGAWA Nina

今週のEDGEな3冊

太宰と安吾
『太宰と安吾』
著・檀一雄 バジリコ/1890円
太宰治の四字熟語辞典
『太宰治の四字熟語辞典』
著・円満字二郎 三省堂/1365円
ピカレスク-太宰治伝
『ピカレスク-太宰治伝』
著・猪瀬直樹 文春文庫/780円

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