EDGE Book Sensor ~雑談のセンスを磨く3冊
雑談から滲み出るもの。それは生き様であり、知性。
春先は社内や地域コミュニティでの人間関係に変化が訪れる時期。そんな"新しい"環境で、雑談を上手に"転がす"技術はスムーズに人間関係を築く上で欠かせない。そこで今回は、雑談のセンスを磨く3冊を紹介したい。気になったことを、調べてみる。すると、何が起きるのかを体現しているのが『謎の1セント硬貨』だ。このエッセイ集は、"日本人初の女性宇宙飛行士・向井千秋の夫"として、一躍有名になった"マキオちゃん"こと、向井万起男氏が、大ベストセラー『君について行こう』以来、10年ぶりとなる著書である。
この本では、著者が米国旅行を通じて出会った"謎"の数々が紹介されている。
「なぜ、米国のトヨタ販売店は、巨大なアメリカ国旗をかかげているのか?」
「なぜ、米国の道路には、そこいらじゅうに動物の死骸が転がっているのか?」
「なぜ、米国のスーパーでは、バラ売りよりもまとめ買いのほうが、品物1個あたりの値段が高くなることがあるのか?」……etc。
そんな一見素朴な疑問について、著者は海外のサイトを調べ上げ、質問メールを出しまくる。その送信先は米国下院議員、NY市長、ウォールストリートジャーナル、退役軍人……と、じつに多岐にわたる。見知らぬアメリカ人たちとのメールのやりとりから見えてくる、アメリカの素顔と本音。思いがけない"発見"は日常生活の中にあると、改めて実感させてくれる一冊でもある。
『あなたにもミエル化?』。車の渋滞や検索エンジンの進化、携帯電話のデジタル化といった身近な事例を挙げながら、その背景にあるエンジニアの仕事ぶりを紹介していく。「当たり前に過ぎていく日常のベールを1枚剥ぐと、物事を秩序正しく当たり前に進めていくために費やされた、人間の努力の跡が見えてきます」と著者はいう。「"見えている"もののそばにあるのに、"視えていない"ものや、"知っている"ことに隠されている"識らないこと」は驚くほど多い。誰かに話したくなるエピソードに出合える一冊だ。
『すすんでダマされる人たち』。英国人ジャーナリストによる、世界を席巻する"ガセネタ"の糾弾本。この本では「9・11陰謀説」をはじめとする陰謀論や、反・進化論に位置づけられる「創造論」、日本でもベストセラーになった『ダ・ヴィンチ・コード』に代表される「疑似歴史学」などを取り上げ、反証していく。取り上げられている事例の大半は欧米のもの。科学VS反科学のバトルもさることながら、日本と欧米の"常識"のズレを俯瞰できるという面白さがある。
雑談は単なるおしゃべりにとどまらない。好奇心や探求心、相手への気配りといった、その人の生き様や知性がちょっとした会話に滲み出る。EDGEの効いた雑談をサラリとできる。それもまた、大人のたしなみなのだ。
今週のEDGEな3冊
『謎の1セント硬貨』
著・向井万起男 講談社/1365円
『あなたにもミエル化?』
著・喜多充成 幻冬舎メディアコンサルティング/1365円







