EDGE Book Sensor~2008年を締めくくる3冊
この1年を振り返り、来るべき2009年に備える
今年も残すところ、あと数日。新年を迎えるにあたり、頭の中身もスッキリ整理しておきたいところだ。そこで今回は年末を締めくくるのにふさわしい、2008年を振り返る3冊を紹介したい。2008年を語る上で、欠かせないのが世界的な金融危機。『資本主義は嫌いですか』は、その実態を丁寧にひもといていく。「バブル」をテーマにした第1部、金融危機の発生がどの程度予想されていたかを紹介する第2部、そして、最新の経済理論の成果をまとめた第3部。それぞれ独立した構成になっているため、つまみ食いも可能。しかし、通して読めば、現在の資本主義が抱える問題が浮かび上がる。
「サブプライム危機の謎を解くカギ」として紹介されているのは、タクシー業界と金融業界の違い。2002年以降、タクシー業界では規制緩和が進み、競争が激化。その結果、平均賃金は「全産業の平均賃金よりも約200万円低い」と、苦しい状況になっている。
一方、金融業界も競争が熾烈なことで知られる。しかし、状況はあまりにも対照的だ。2007年夏までは「業界全体が『高利潤』を謳歌」し、中には総額3兆3000億円ものボーナスを支払っている銀行があったほどだという。なぜ、そんな違いが生まれたのか――。
この本を読むと、サブプライムショックは起こるべくして起こり、金融機関への信頼は失われるべくして、失われたということがよくわかる。感覚では、そこにある、いびつさはわかる。だが、改めて誰かに説明しようと思うと、なかなか難しい。そんな現状を語るべき言葉を押さえるのに最適な一冊だ。
『お前が若者を語るな!』。タイトル通り、巷にあふれる若者論を一つ一つ取り上げ、そこにある矛盾を突く。宮台真司をはじめ、香山リカ、三浦展、東浩紀といった若者論を語る"識者"陣を次々に一刀両断していく様は壮観ですらある。「『世代』だけを基準に内ゲバを繰り返しているのでは、真に問題にすべき権力の構造を素通りしてしまう」というのが著者の持論。若者論を俯瞰するガイドブックとしても役に立つ。
『そうだったのか! ニュース世界地図』。2008年から2009年にかけての世界各国の動きを世界地図とともに解説。アジアの「竹島問題と尖閣諸島問題」や「中国国内の暴動発生地図」、ヨーロッパの「NATOの再編成」、ロシア・東欧の「コソボ独立」など、エリア別の解説も充実している。パラパラめくっているだけで各国の対立構造、そこにある問題の背景などを直感的につかめる一冊。
キャッチした情報の断片を整理し、とらえ直す。その繰り返しが、自分の立ち位置を明確にし、情報感度に磨きがかかる。情報に敏感でありながら、情報の洪水に飲み込まれない。そんな強靭な思考力を身につけるのに、年末年始は格好のチャンスだ。
今週のEDGEな3冊
『資本主義は嫌いですか』
著・竹森 俊平 日本経済新聞出版社/1890円
『お前が若者を語るな!』
著・後藤和智 角川グループパブリッシング/740円







