アナウンサー・上柳昌彦がすすめる「世界を広げる3冊」
アナウンサー・上柳昌彦がすすめる「世界を広げる3冊」
1957年生まれ。大学卒業後、ニッポン放送に入社。
「オールナイトニッポン」月曜2部をはじめとし、「FAN!FUN!TODAY」、「テリーとうえちゃん のってけラジオ」、「うえやなぎまさひこのサプライズ!」など数々の人気番組でパーソナリティを務める。
現在は朝のニュース情報番組「上柳昌彦のお早うGood Day!」(月曜~金曜6:00~8:30)を担当するほか、今年10月より新番組「上柳昌彦 土曜日のうなぎ」(土曜17:30~20:00)もスタートした。また「うえやなぎまさひこのサプライズ!」のコーナー発の書籍で、10万部突破のベストセラーとなった『車いすのパティシェ』(扶桑社)シリーズの第3弾となる『80点コロッケ』も好評発売中。
http://www.1242.com/goodday/
世界中を旅する作家として知られる、椎名誠の青春3部作の第1弾となる『哀愁の町に霧が降るのだ』。本書に登場するのは若き日の椎名誠と、その仲間たち。克美荘なるボロアパートで共同生活をする若者たちの悲しくもバカバカしい青春の日々が描かれている。
「新入社員だった頃は仕事らしい仕事もさせてもらえず、たまに20秒のCMを読ませてもらえたと思ったら、『ダメだな、お前』と叱られ、落ち込む日々を送っていました。そんな時期に出会ったのが、この本です。つい最近、久しぶりに読み返してみて、あの悶々とした時期はとても大事な時間だったということを改めて感じました。一見、無駄な時間を過ごしているように見えても、人生に無駄なことは何一つないと教えてくれる一冊です」
『無人島に生きる十六人』。海難事故で無人島に流れ着いた16人の日本人が協力し合い、支え合いながら生き抜くという実話。水や火を確保し、ウミガメを飼い、酒も造る。困難な状況の中でも知恵と工夫で乗り切っていく明治の男たちのたくましさに圧倒される。
「一人一人がそれぞれの役割をきちんとまっとうし、しかも一切もめないんです。この本を読んでいると、人としての誇りさえ失わなければ、モノがないところでも何とでもなるんだなという気持ちになります。昔の日本人がすごかったのか、それとも、この16人がすごかったのか。おそらく両方ですけれど、学ぶところの多い本です」
『赤めだか』。最もチケットが取りづらい落語家の一人、立川談春の初めての著書となるエッセー集。17歳で高校を中退し、立川流に入門した経緯から、師匠である立川談志との日常、破天荒な修行時代をつぶさに描く。芸の道を志した若者たちの青春群像劇でもある。
「弟子というのは、師匠の言葉の数々をここまで細かく覚えているものなのかと、驚かされる本です。とくに印象に残っているのは、談志さんが嫉妬心について語るくだりですね。『己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と言うんです』と談志さんは言うわけです。自分も含めて、つい他人のせいにしたくなるけれど、『現実は正解』なんだから、『現状を理解、分析してみろ』と。このくだりを読むためだけに手に入れてもいい、視野が広がる一冊です」
今週のEDGEな3冊
『哀愁の町に霧が降るのだ』(上・下巻)
著・椎名 誠 新潮文庫/上巻700円・下巻660円
『無人島に生きる十六人』
著・須川邦彦 新潮文庫/420円



