EDGE.net > EDGE Sensor > 小説家・真山仁がすすめる「社会の裏側が見えてくる3冊」

輸入車・外車のカーセンサーエッジ:EDGE Sensor エッジなセンサーで流行を追う|輸入車・外車の中古車情報ならカーセンサーエッジnet


小説家・真山仁がすすめる「社会の裏側が見えてくる3冊」

この記事をクリップ! Hatenaブックマークに追加 10/07

小説家・真山仁がすすめる「社会の裏側が見えてくる3冊」

真山仁 Jin Mayama
1962年生まれ。2004年に『ハゲタカ』(ダイヤモンド社/講談社文庫)でデビュー。
著作に『虚像(メディア)の砦』(角川書店/講談社文庫)、『マグマ』(朝日新聞社/朝日文庫)、『バイアウト』(講談社/講談社文庫 ※文庫版は『ハゲタカⅡ』に改題)など。
最新作となる『ベイジン』は中国と原発を巡る壮大な物語だ。
現在、「ザ・メディア 新聞社買収」(『週刊ダイヤモンド』・ダイヤモンド社)、「レッドゾーン」(『小説現代』・講談社)、「亡国偽装」(『小説トリッパー』・朝日新聞社)、「ハゲタカ」シリーズのスピンオフとなる「ハーディ」(『IN★POCKET』・講談社)など連載多数。
http://www.mayamajin.jp
現代社会の光と影に注目し、常識のウソに鋭く切り込む作家・真山仁。雑多な情報が飛び交う中、どうすれば先入観にとらわれず、本質をとらえることができるのか。執筆の合間に読書をするほどの読書家である、真山さんが選んだ「社会の裏側が見えてくる3冊」はこれだ。

「ミステリーの女王」の異名をとる、アガサ・クリスティーの代表作の一つ『アクロイド殺し』。名探偵エルキュール・ポアロが活躍する長編小説としてはシリーズ3作目にあたる。イギリスのある田舎町で殺人事件が起こる。容疑者の失踪、遺産相続を巡る思惑、人間関係のこじれ……と深まっていく謎。そして、ポアロが解き明かした驚くべき真相とは――。

「上質なミステリー小説を読むことは、社会を読む眼力を養う上で重要な意味があります。例えば、アガサ・クリスティーの作品を長く読んでいると、他人の言葉をうのみにしなくなる。多分、読み始めてすぐは悔しいぐらい簡単に騙されると思うんですよ。でも、何冊も読んでいると次第に彼女の手法がわかってきて、作品中にちりばめられた謎の意味が見えてくる。人間の勘違いや思い込みを体感すると、物事を見る目が変わってきます」

『消されかけた男』。ベテラン諜報部員が活躍する傑作スパイ小説シリーズの第一作。優秀さが逆に災いし、組織から疎まれ、題名通り消されそうになる主人公。しかし、孤立無援の中、卓越した頭脳と経験知を駆使して危機を切り抜けるという物語だ。

「本当のプロは、組織から潰されてもやっていける。この小説の主人公はまさに、そのプロの典型です。優秀さゆえに組織から疎まれるという展開はサラリーマン社会に通じるところがあります。会社という組織の一員という立場で読めば、身につまされるシーンもあるでしょうし、リストラされない処世術も学べる。読み応えのある一冊です」

『白い巨塔』。陰謀うごめく大学病院を舞台に、知られざる医学界の実態にメスを入れた社会派小説。1966年に故・田宮二郎主演で映画化されて以降、繰り返し映像化されており、昨年には韓国でリメイク版が放映されるなど、海外でも熱い関心が寄せられている。

「生き方が違う2人の医者の闘いを描いた物語ですが、日本の小説によくある“勧善懲悪”ではないところが、この作品の面白さですね。それぞれにプロとして譲れないものがあり、だからこそ激しくぶつかる。ドラマでご覧になった方も多いでしょうが、私としては原作の感動はテレビドラマを凌駕すると思っています。読みこむほどに面白くなるのが小説というもの。みなさん、ぜひ小説を手にとって、読んでみてください」

文・島影真奈美 text/SHIMAKAGE Manami

今週のEDGEな3冊


アクロイド殺し|EDGE Book Sensor
『アクロイド殺し』
著・アガサ・クリスティー
早川書房/714円
消されかけた男|EDGE Book Sensor
『消されかけた男』
著・ブライアン・フリーマントル
新潮文庫/620円
白い巨塔|EDGE Book Sensor
『白い巨塔』
著・山崎豊子 新潮文庫/620円