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プロディジー

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インヴェイダーズ・マスト・ダイ
ビクター
VICP-64654
2月18日発売 2100円

『インヴェイダーズ・マスト・ダイ』

5年ぶりの通算第5作。
これはもしかしてプロディジー史上最高傑作かも。

パンクでヒップホップでレイヴ。
そんな生来の持ち味を存分に発揮しながら、しかも自己のスタイルに埋没していない。
これは単純にすごいことだと思う。
なにしろどこを切り取ってみてもプロディジー然としているのに、安心感以上にスリルを味わわせてくれるということなのだから。

しかも重要なのは、きわめて凶暴なたたずまいをしたこの音楽が、聴き手のココロを暗雲で埋め尽くすような性質のものではなく、むしろ、何に逃げても解消されないモヤモヤをすべて解消してくれるようなアッパーさを持ち合わせているということ。
猫なで声で"大丈夫だよ"と無責任に背中を押してくれる励ましソングには吐き気がするが、この作品は逆に、遠慮のない強烈なパンチで目を覚まさせてくれる。
猪木のビンタみたいなものか。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

デレク・トラックス・バンド

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オールレディ・フリー
ソニー
SICP-2160
2月18日発売 2520円

『オールレディ・フリー』

三大ギタリストといえば誰もが思い浮かべるのはクラプトン、ベック、ペイジだが、近年、その新世代版と称されているのがジョン・フルシアンテとジョン・メイヤー、そしてこの人物だ。

クラプトンのツアーへの同行歴もあるトラックスは、デュアン・オールマン直系のスライド・ギター継承者としても知られ、これまでも良質な作品発表を重ねてきたが、この第6作は、まさに彼の地位を決定づけることになるであろう強力作。
いきなりボブ・ディランのカヴァーで幕を開けたりして驚かされるけども、簡潔な形容をすれば"普遍的かつ多様なブルーズ作品"ということになるだろう。

正直、新しい発明品に出会ったときのような驚きはない。
が、彼個人が優れているだけじゃなく、マイク・マティソン(vo)をはじめ役者が揃っていて、何ひとつ過不足を感じさせない。
満足なうえに、ゲップとも無縁。素晴らしい。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

リリー・アレン

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イッツ・ノット・ミー、イッツ・ユー
EMI
TOCP-66860
2月4日発売 1980円

『イッツ・ノット・ミー、イッツ・ユー』

まったく侮れないお嬢さんである。
ワガママで毒舌な生まれつきのセレブで、パパラッチたちの獲物でもある彼女の2ndアルバムは、全世界で250万枚を売ったというデビュー作が単なるまぐれではなかったこと、彼女がありがちな"プロデューサーの玩具"とはむしろ真逆の存在であることを生意気に証明している。

マイスペースから人気に火がついた事実などが象徴的過ぎるゆえに"現代っ子たちの代表選手"みたいな印象も強いが、実は彼女が代弁しているのは、ほぼすべての"あなた"の心情だったりする。

「私じゃなく、あなた」という表題も、そんなことを意味しているんじゃないだろうか。
しかも「ファック・ユー」なんて超ストレートなタイトルの曲があったりするのと同時に、実にきめこまやかで多面的なポップ作品として完成されていたりもする。
きらめきと毒の双方を持った快作である。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズ

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クライング・ライト
P-VINE
PVD-93202
1月23日発売 2415円

『クライング・ライト』

ビョークやルー・リードとの共演でも音楽ファンの話題を集めた人物の新作。
アルバム・カヴァーに用いられているのは100歳を超えて今なお踊り続けている日本の舞踏家、大野一雄のポートレイトで、実際、このアルバム自体が彼に捧げられている。

アントニー自身、「あらゆる所作のなかに、彼は子供と神の女性的な側面を表現していました」とコメントしているが、本作で触れることのできる彼の歌声もまた、性別や年齢、喜怒哀楽といった感情を超越した、まさに神々しさを感じさせるもの。
いや、むしろそうした言葉で安易に形容してしまうことに気恥ずかしさを憶えてしまうくらいの崇高さと神秘性、そして自然にこちらの深層に染み込んでくるかのような圧倒的な浸透力を感じさせる。
ジェフ・バックリィを、ルーファス・ウェインライトを初めて聴いたときよりも、ある意味"怖い"気がする。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

フーバスタンク

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フォーネヴァー
ユニバーサル
UICL-1081
1月28日発売 2200円

『フォーネヴァー』

 約3年ぶりの新作ということになる通算第4作。
人脈的にはインキュバス、メロディックなラウド・ロックという解釈からはリンキン・パークなどと同じ枠のなかで語られることの多いバンドだが、誤解を恐れずに言えば、彼らの音楽には必要以上のヒネりもなければ、近未来的ハイブリッド感もむしろ希薄だ。
どちらかといえば、メロディの美しさと"歌"の印象度で勝負する普遍的なロック・バンドという捉え方をすべきではないかと僕は思う。

実際、ちょっと大胆な形容をすれば、サミー・ヘイガー在籍時代のヴァン・ヘイレンの作品に通ずるような感触もあるし、ナイト・レンジャーやジャーニーあたりと並べて聴いても違和感がなさそうな気がする。
というか、敢えて暴言を吐いてしまおう。
このバンドの魅力を本当に理解できるのは古き良きハード・ロック愛好家たちなのではないか、と。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

シール

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ソウル
ワーナー
WPCR-13284
1月14日発売 2580円

『ソウル』

UKソウルのヴェテランによる通算8作目。
表題からも察しがつくとおり、いわゆるソウルの名曲カヴァー集である。

こうした作品形態自体は最近あちこちで目にするし、正直、あまり新鮮とは言い難い。
が、素直に浸ることができるのは、サム・クックやジェイムズ・ブラウン、アル・グリーンやオーティス・レディングの代表曲ばかりが並ぶベタな選曲にも、デヴィッド・フォスターの過不足のないプロデュース・ワークにも、妙なスノッブさが伴っていないからだ。

シール自身は嫌味なくらい歌の上手い人でもあり、そこで作風が前衛的だったりお洒落すぎたりすると、なんだか聴いていて疲れてしまうところがあるのだが、これくらい肩の力を抜いてやってくれると聴いていてとても気持ちがいい。

ソウルに疎い人でもおそらく一度は耳にしたことがあるはずの曲ばかり。
そんな安心感も心地好い。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

ザ・ヴュー

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フィッチ・ビッチ?
BMG
BVCP-25178
2月11日発売 1965円

『フィッチ・ビッチ?』

まず暴言。
UKの新人バンドについては"話題性のみで実はハリボテ"なことが多々あるので、踊らされないように気をつけている。

が、逆に2枚目が出たときに輝きが増していたりした場合には、そこでぐっと信頼感が強まってくることになるわけなのだが、このザ・ヴューはまさにそうしたバンドの好例といえそうだ。

スコットランドで十代の頃に結成され、リバティーンズの後継者と目されており、胸キュン(死語?)な青春ポップ・ロック路線で支持されていて、ポール・ウェラーやノエル・ギャラガーからも賛辞を得ている……などと聞くと、歴史上何度となく繰り返されてきた"UKの瞬間風速的バンドの悲喜劇"と重ねて見てしまいがちなところが僕にはあるのだが、これは素直に気持ちいい。

確かな成長もうかがえるし、デビュー作がUKチャート1位を獲得した事実にも今さらながら頷ける。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

ロッド・スチュワート

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スーパースター・ストーリー ~ザ・ベスト・オブ・ロッド・スチュワート
ワーナー
WPCR-13304/05
1月28日発売 3280円

『スーパースター・ストーリー ~ザ・ベスト・オブ・ロッド・スチュワート』

この3月、実に13年ぶりの来日公演を行なう"自他共に認めるスーパースター"の2枚組ベスト盤。

近年ではスタンダード曲カヴァー集の連続ヒットで再評価熱も高まったものの、なんだか必要以上に落ち着いてしまって残念なところがあったのも事実。

しかし「マギー・メイ」で幕を開けるこのセレクションは、ロッド自身のトラディショナルな音楽ルーツを再確認させると同時に、彼がいわゆるロック界の"顔"だった時代の華やかな薫りを堪能させてくれる。

過剰なヒネリとは無縁のベタな選曲もむしろ心地好い。
DVDをセットした3枚組のデラックス・エディションも同時発売されている他、2月25日には『アトランティック・クロッシング』をはじめとする70~80年代の名盤たちが紙ジャケ仕様(しかも高音質SHM-CD)で再登場。

もちろんライヴも観たいところだ。
チケットがちょっと高いけども(笑)。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

ブリング・ミー・ザ・ホライズン

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スイサイド・シーズン
BMG
BVCP-25174
1月21日発売 1980円

『スイサイド・シーズン』

英国の破壊的やんちゃ坊主。

自分たちの音楽スタイルを"デス・コア"と称しているシェフィールド出身の5人組なのだが、平均年齢21歳未満という事実に似つかわしい肌ツルツルの可愛い若者たちでありながら、ヴォーカルの奴なんて両腕のみならず首までびっしり刺青で覆われていたりするし、ジャケット写真の少女が抱えているのも薔薇の花束かと思いきや実は血まみれの臓器。

わざわざデス・メタルの特産地(!?)であるスウェーデンまで飛んで録音されている点などからもマニアックなコダワリの強さがうかがえるが、実際、聴こえてくるサウンドも桁外れの過激さ。

いまどきの轟音バンドに共通する"楽曲構成が複雑、演奏がテクニカル、メロディックなのは歌以外の要素"という不可解な典型も、ここまで極められていると美しささえ感じられる。運転中のBGMには不向きだろうけども。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

ジ・アンサー

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エヴリデイ・ディーモンズ
WHD
IECP-10165
1月28日発売 2625円

『エヴリデイ・ディーモンズ』

まさに現代版クラシック・ロック。

各方面で絶賛の声を集めたデビュー作、『ライズ』から2年半を経て発表された今作で、アイルランド出身のこの4人組は、彼らがこれまでレッド・ツェッペリンやハンブル・パイ、AC/DC、ブラック・クロウズなどと比較されながら高評価を得てきたことが"まぐれ"ではなかったことを実証している。

扇動的なリフで攻めたてるばかりではなく、ブルージーな曲で酔わせたかと思えばポップ・チューンで爽快に突き抜けてみたりと、その攻撃ぶりは実に立体的。しかもヴォーカルの存在感が圧倒的で素晴らしい。

いわゆるハード・ロックを愛してきた人たちならば、初めて聴いた瞬間から愛着をおぼえるはずだし、紛い物ではない輝きを見出すことができるに違いない。

もしかして救世主の登場なのか?
4月の来日公演で、是非その"答え"を確かめて欲しい。
文・増田勇一 text / MASUDA Yuichi

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