世界一旅が似合うオートバイ
DOHC化でメカニズムを進化させたBMW R1200GS/GSアドベンチャー。
中低速域をパワーアップさせ、さらに磨きのかかった乗り味を本誌編集長・堀江が試乗リポートします
BMW R 1200 GS Adventure
この写真は本国仕様のハイシートを装着したもので、日本国内仕様は若干ライダーズシートが低くなり足付き性が良くなる。ブロックタイヤもオプション。ウインドシールドは大型でサイドディフレクターも装備されており高速巡航でも風圧を感じることはない
TRANSMISSION:6-SPEED
LENGTH:2240mm
WIDTH:980mm
HEIGHT:1525mm
WEIGHT:259kg
WHEELBASE:1510mm
SEAT HEIGHT:890/910mm
ENGINE:INLINE2 DOHC
DISPLACEMENT:1170cc
POWER:110ps/7750rpm
TORQUE:120Nm/6000rpm
TIRES:F:110/80 R19 R:150/70R17
PRICE:2,328,500〜2,465,000yen
堀江史朗の見解
GSアドベンチャーの出で立ちは実に勇ましい。今すぐダカール・ラリーに参戦できそうな装いは、男がもつ冒険心を思い切りくすぐってくれる。僕は初代アドベンチャーのR1150GSを所有しているのだが、「その気になればどこにでも確実に到達できそうなバイクはこのGSシリーズ以外にはない」と完全に信じ込まされてしまっており、そのGSのモデルチェンジにはいつも人一倍興味を抱いてしまう。そして今回もGSは期待通りの進化を果たしてくれた。変更のポイントはずばりパワーユニット。排気量やミッションレイアウトはそのままに、エンジンヘッドをDOHC化することで110馬力と120Nmを獲得している。BMWモトラッドは1920年代からこの水平対向エンジンを2輪上級モデルに搭載してきており、もはやそのクオリティは熟成の極みという感もあったが、まだまだ開発の余地があったということであろう。
さて、その新型DOHCエンジンだが、ほんの少しの距離を走るだけでその違いはすぐにわかった。エンジンの吹け上がり方が圧倒的にスムーズになり、かつレッドゾーン付近までしっかりとパワーが出ているのが伝わってくる。従来のエンジンも比較的よく回るものであったが、ある一定のゾーンを超えると「ただ回っているだけ」という感覚に変わってしまい、残念ながらリニアにパワーが立ち上がることはなかった。大きな躯体ながら俊敏な走りも楽しめるバイクだけに、このレスポンスの変化はとてもうれしい。
また、だからと言って低回転域のトルクを諦めてしまったわけではない。超低速走行でもグッと地面を掴んでくれるような力強さを残してくれており、エンデューロマシンらしい本来の性能をまったく損なっていないのはさすがである。
ところで本格的なオフロードバイクとして、この水平対向エンジンの組み合わせは理に適っていることを謳っておきたい。まず重心が低く出来ることは大きなメリットだ。走破性を考え地上高を稼ぐためにはどうしてもエンジンを高く搭載する必要があるが、ボクサーエンジンならば重いエンジンヘッド部分を低いポジションに残すことが可能になる。また道なき道を走るときに、このエンジンヘッド自体がレガース(脛当て)のような役割を果たしてくれるので安全性が高い。さらに、くるぶしの前にエンジンヘッドがあるので、寒冷時にはレッグウォーマー的な機能も果たしてくれるという特典もうれしい。ざっとこんな感じである。
ちなみにノーマル仕様のR1200GSも同時に乗り比べてみたが、これもある意味「別モノ」であった。迫力の33Lタンクがない分スリムに感じられることもあるだろうが、そもそもサスペンションストロークも短く足付きも良い。約30kgも車重が異なるのでブレーキタッチもいい。要はたいへんよく出来た普通のバイクなのである。
でも、どうせGSを選ぶなら絶対にアドベンチャーである。誰もが乗れるようなバイクに乗っても面白くない。GSは乗ること自体が「冒険」なのである。










