BRITISH NORTON REVIVAL ~ノートン完全復活~
BRITISH NORTON REVIVAL ~ノートン完全復活~
ノートンが創業の地イギリスに戻った。
あれから2年ハードワークの末、送り出した復帰作こそコマンド961なのである。
記念すべき一台の先に広がる未来に、新生ノートンの本当の戦略が見えてきた
(左)8000rpmまで軽快かつよどみなく回るOHV2バルブユニットを操る時、乗り手とバイクの対話がこの盤面を通じて始まる。速度計の下には多機能表示のパネルも備えている
(右)新生コマンドは懐古趣味ではない。世界限定200台で生産されるコマンド961SEはカーボンホイールを履く。その軽さを活かせるシャシーを持つ。ブレーキ回りはブレンボ
SPECIFICATIONS (ノートン コマンド961SE)
TRANSMISSION:5-SPEED
LENGTH:2076mm
WIDTH:874mm
HEIGHT:1251mm
WEIGHT:188kg
WHEELBASE:1420mm
SEAT HEIGHT:813mm
ENGINE:INLINE2
DISPLACEMENT:961cc
POWER:80ps/6500rpm
TORQUE:90Nm/5200rpm
TIRES:F:120/70 17 R:180/55 17
PRICE:2,992,500yen
本籍はサーキットノートンのこれらを訊く
70年代、一様に斜陽に照らされたイギリス自動車業界は、この20年の間に数々の復活劇を演じてみせた。ここに紹介するノートンの復活も後々一編の物語になるにちがいない。
19世紀末に自転車用チェーンメーカーとして創業したノートンは、ほどなくモーターサイクル製造を始め、1907年に初開催されたマン島TTレースに参戦し、勝利を収める。その後も数々の伝説とサブカルチャーを牽引し突き進む。が、経営的には数々の荒波に曝され、企業として離合集散を重ねる。そしてノートンはアメリカの投資家の手に渡る。5年ほど前にノートンは、アメリカでコマンドのプロトタイプを作り上げ、メーカー復興を模索する。しかし2007年にはそのプロジェクトも資金難に陥り、休眠状態に。そこにリーマンショックである。2008年10月、投資家オーリー・カームズは現ノートンCEO、スチュワート・ガーナーにノートン買収を電話で打診する。ノートンロータリーに関わってきたガーナーは常々ノートンはイギリスに戻るべきと考えていただけに、僅か4日で複雑な交渉と未来のビジョンを描き、イギリスにノートンを戻すことに成功する。
あれから2年。アメリカで作られたプロトタイプをベースに、コマンド961を作り出す。2輪レーサーのフレームコンストラクターであるイギリスのスポンドンが設計に関わったフレームと、F1エンジンも製作するMCTによって鍛えられたエンジン。この組み合わせは、スペックやルックスからは想像できない走りの良さを生み出す。加速感、曲がりざまを心に刻める乗り味だ。構成部品の80%をイギリス製としている点もコマンドの魅力だ。
今後の戦略を訊いて驚いた。「ノートンは創業当時からレーシングブランドで、これからも変わらない。我々がドニントンパークサーキットに本拠を構えたのもそれが理由だ。我々は2012年からモトGPに参戦する。大規模生産メーカーになるつもりがないので、量産車で戦うスーパーバイクよりもフォーミュラたるモトGPのほうが身近なのだ。モダンなスポーツバイクの設計も進めているところだ」
ガーナーは本気だ。彼自身、スポンドンのオーナーである。F1チームを経験した者や他メーカーから移籍したデザイナーなどノートンには駒は揃っている。どうやら2年前に描いたビジョンは着実に進んでいるようである。
(後編へ続く)








