「ロングライフ」が問いかけるもの
「以前、W124で地方出張に行く際、高速のサービスエリアでシガーライターの穴にクリップを落としてしまい、電気系統がショートしたことがあるんです。見ず知らずの土地に行くのにナビ頼りだったんですが、ナビの画面も真っ暗になったまま。仕方なく、あちこちに電話をしたんですが、到着まで数時間かかるという。仕方がないからダメ元で、取扱説明書を見ながらヒューズを交換したんです」
自身「車の構造についてはまったくのドシロウト」というナガオカさんに、もちろんヒューズの交換経験はなかった。にも関わらず数十分後、ナガオカさんは再び目的地に向けて走り出していた。
「『メルセデス、さすがだ』と感心しました。まったくのドシロウトの僕がトリセツを見ただけでヒューズの交換ができるんですから。W124は定期点検のときに、ちょっとお金がかかる車なんです。その代わり、定期点検と定期点検の間、不用意なタイミングで故障しない。きちんとメンテナンスをすればずっと乗り続けることができる。そんな安心感を感じるんです」
ナガオカケンメイさんが編集長を務める『d design travel』の巻末には毎号、「編集の考え方。」が書かれている。「本音で書く」などナガオカケンメイさんと編集部の考え方が5つの項目にまとめられているが、その一番最後、5番目には次のように書かれている。
ロングライフな視点から、ものを見ていくこと。
継続しそうにないものは、取り上げないこと。
流行的なものは取り上げないこと。
いつまでも乗り続けることができ、流行に流されることなく、いつの時代も確固たる佇まいで世に自らを問いかけるプロダクト――。つまりナガオカさんにとってのメルセデス・ベンツそのものである。






