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FLAT4 小森隆社長との不思議な縁

Hatenaブックマークに追加 この記事をクリップ! 2010/01/29

町田忍 フォルクスワーゲンType1

町田さんと小森さんは、ビートルを通じて知り合い、語り合ってきた。専門こそ違えど、生き字引同士のトークは深く、そして果てしない。町田さんのビートルのメンテナンスは「この30年間」FLAT4で行われているとか

町田忍 フォルクスワーゲンType1

昨年町田さんは、40年近くハンドルを握ったビートルに、これまでしたことのないメンテナンスを行った。

「初めて全塗装をかけたんです。ここまで来ると、間違いなく一生の付き合いになる車ですからね。長く乗っていたから表面もザラついてきたし、サビも出てきた。フェンダーは何回かブツけているので、塗り直してもそこからサビが浮いてきてしまう。まぁずっとそのまま乗り続けて朽ちるのを楽しむという手もあったんですけどね」

まさに、侘寂――わびさびの世界である。

「『さび』とは『寂び』であり『錆び』である、と(笑)。とはいえ、全体に退色してきていたし、長くお世話になっているFLAT4の小森さんに『早くしたほうがいいですよ』とも言われちゃいましたから」

FLAT4の小森隆社長と言えば、自動車業界では伝説的な人物だ。「レストア」という言葉を日本に定着させ、その影響力は世界のVWシーンのあり方すら変えたと言われるほど。現在もビートルやポルシェ356といった旧車を中心に、レストア車両の販売やオリジナルパーツの開発を行っている。

「小森さんとは、実はもう長いお付き合いになりますね。といっても、最初はたまたまです。ビートルを買って4~5年くらい経った頃『あ、近所にいい店ができたな』って(笑)。以来、FLAT4さんには、ずっとお世話になっています。あ、ちょっと行ってみましょうか」

そうして訪れたFLAT4の店の奥からは、まさに紳士然とした趣の小森社長が現れた。そこで町田さんと繰り広げられた1950~60年代当時の自動車事情トーク。

曰く「1950年代までは鎖国だったから、ワーゲンを買いたい日本人は大使館の人間に頼むしかなかった。だから当時のワーゲンは黒ばかり」
曰く「当時はまだナンバーに地名がなかった。『品川』などない、ただの『5』だった」
曰く「そういえば先日1900ccの観音開きタクシー――黄色地に黒文字のナンバーが、ついに絶滅したらしい。当時は初乗りが80円だった」
曰く「ルノーの3本ヒゲの初乗りは60円。当時は車種によって違った」などなど……。

時代を濃厚に生き抜いてきたからこそ、鮮明に残る当時の記憶。それは“街の記憶”を収集し、形に残す町田さんの仕事ぶりとも似ている。

  • 文・松浦達也 text/MATSUURA Tatsuya
  • 写真・相川大助 Photos/AIKAWA Daisuke

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