街にビートルがあふれた1970年代という時代
町田さんがフォルクスワーゲンを手に入れた1970年代は、国内で見かける輸入車といえばフォルクスワーゲンという時代だった。もちろんメルセデス・ベンツやBMWなども輸入されていたが、庶民が乗る車としてはフォルクスワーゲンが圧倒的人気を誇っていた。
「当時、ヤナセにはフォルクスワーゲンクラブというワーゲン乗りのためのクラブがあったんです。ただ、当初はワーゲンオーナーばかりだったんですが、ゴルフなど新しい車種が増えると、他の輸入車に乗り替えてしまう人も……。だんだん純血のワーゲン乗りが少なくなり、新たに同好の士だけでビートルだけの『かぶと虫グループ』というクラブを作ったんです」
土日になるとビートル乗りで当時開発の真っ最中だった新宿に集まった。連休にはビートル十数台で志賀高原にスキーに出かけたこともあったという。
「チェーン規制がかかるエリアに入ると、全台一斉にチェーンをつけ始めるんですが、当時は本当の鎖のチェーンでしたし、つけづらかった。慣れない人を待っていたら、チェーンの装着に2時間かかったこともありました。当時は志賀高原や野沢、湯沢あたりによく出かけていましたね。いまはさすがにそんな元気はありませんけど(笑)」
自らの車でスキー場へ向かう。当時、都会の若者誰もが憧れたスキースタイルの王道である。車は時代を映す鏡である。昔も今も、そしてこれからも。






