どこまでも行ける車
残り少ない大学生活で、警察に就職するまでの間際にワーゲンを手に入れた町田さんは、その後、あらゆる場面でワーゲンを使い倒したという。
「本当は『家の車』でもあったんですが、途中で寮に入ることになったので、持ち出したんです。だから警察の寮に駐めたり、泊まり勤務の時配属された交番の横に駐めてたり、たぶん今では許されないようなことも、たまにしていましたよ」
プライベートでビートルを駆る警察官とは、かなり希有な存在だったに違いない。
「確かに当時、ビートルに乗った同僚はいなかったから、結構うらやましがられましたね。おかげで1300ccなのに同僚の男性ばかり5人で海に行ったこともありました。もっともその頃は、ビートルはかなりたくさん走っていましたし、女の子に人気があったのはスカイラインあたりでしたから、単に男5人での海水浴となってしまいました(笑)。5人で乗った記憶は結構ありますね。一度、神戸まで女の子4人と旅行に行ったこともありますから」
そ! それはうらやましい!
「いや、単に足として利用されただけですよ。別にワーゲンを持っているから憧れられたというわけじゃありません。恐らく女4人で電車で神戸に行くとなったとき、『旅費、浮かしたいよね』というような相談でもしたんじゃないですか?」
30年以上、ただ1台の車になるとは同乗者はもちろん、自身でも予想すらしなかった当時の話である。






