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自動車文化の息吹が感じられるんです

Hatenaブックマークに追加 この記事をクリップ! 2010/01/15

町田忍 フォルクスワーゲンType1

納車から38年目に突入した町田さんのビートルは、当時もいまもどんな街の風景にも溶け込んでいく

町田さんが車を手に入れた1970年代前半は、国産車の性能向上もめざましく、3代目スカイライン――“ハコスカ”やトヨタスポーツ800――“ヨタハチ”などが若者の人気を博していた頃だった。なぜ町田さんは2CVやボルボに惹かれ、フォルクスワーゲンを手に入れたのか。

「1960~1970年代の日本車というのは性能がガンガン上がっていって、若者に人気のスポーツカーのラインナップも爆発的に増えていった頃ですよね。ただ僕にとっては、どこか違和感があったんです。もともと日本には車文化がなく、人力車や馬車が通る“人車兼用”の道に車が入ってきた。一方、生活に車が必要不可欠な欧米では、自動車が走ることを前提に設計された都市も多いし、生活のなかに自動車が完全に溶け込んでいる。そんな自動車文化の違いが、“車らしさ”の違いとなって僕の目に映ったということなのかもしれません」

その事例として、町田さんは愛車のフォルクスワーゲンやポルシェを挙げた。

「フォルクスワーゲンという車は、ポルシェの礎を作ったフェルディナント・ポルシェ博士が設計したものですよね。その開発の土台には、『頑丈で修理の必要が少なく、廉価で手に入る』という“国民車”的な思想があった。20年、30年使える車という思想が欧米の車には埋め込まれているように感じられた。ワーゲンやポルシェって、都市でも田舎でも風景に溶け込む印象がありますよね。その都市にしても、浅草、新宿、六本木――どんなタイプの都市を走っていても自然に見える。そんな佇まいが好きだったんです」

となると、当時の日本車からはそうした思想が感じにくかったということだろうか。

「経済の成り立ちを考えても、日本の高度成長というのは物をどんどん買い替えるという行為があったからこそ成立したとも言える。もちろん自動車もそうしたサイクルと無縁ではいられないから、仕方のないことではあったんでしょうけど、少なくとも僕の目には輸入車の方が魅力的に見えたんです」

そう語る町田さんのフォルクスワーゲンは、今年2010年1月13日、現役生活38年目に突入した。次回からはそのディテールを見ていこう。

  • 文・松浦達也 text/MATSUURA Tatsuya
  • 写真・相川大助 Photos/AIKAWA Daisuke

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