まさか車検が……!?
「あ、試してみます?」とカギを貸してくれた大宮さんだが、クルマのそばに寄ってみるとドアのロックピンが上がっているようにも見える……。
だが、ドアハンドルに手をかけてもドアは開かない。もう少し力を入れてみたところ、「バリッ!メリメリメリメリ……」というドアパッキンのはがれる音とともにご開帳。まったく乗っていないということが丸わかりだ。
「海に行こうとしたのが、1年以上前ですからねー」
と、こともなげにエリーさんは言うが、その横で「ドアロックもかけていないなんて……」とマネージャーさんが頭を抱えている。エンジンをかけてみようとキーを回したところ、プスリとも言わない。しかも、点検整備済ステッカーを見ると前回の定期点検は昨年の4月。もしかして……。
「車検?よく聞くんですけど、それってなんなんですかね。点検とかは、人にお願いしていて、自分でやんなかったからよくわかんないんです。誰かに車検っていうものを頼んだような気もしますけど」
あわてて全員で車検証の捜索にかかるが、ダッシュボードからもトランクからも車検証は見つからない。しかし話を総合すると、どう考えても公道を走ることができるクルマではないことだけは確かだ。
「もしかしてこのクルマ、車検切れてるんですか?」
確かに車検切れかもしれませんが、それ以前の問題として、バッテリーが上がっている上、タイヤもひび割れています……。いったい数か月に1度のドライブ以外では、今までどんな使い方を?
「事務所にお客さんが入りきれないとき、待ち合い室として使っていました」
クルマとのつきあい方は、人それぞれである。




