ある日、ポルシェがやってきた
「知り合いのヘアメイクさんから譲っていただいたんです。といっても、最初は断ったんですよ。でも、『キミはこのクルマに選ばれたんだ』って言われて、つい……」
『わたしのもらいもの』という連載を持っているくらいだから、いろいろもらうのだろうが、それにしてもポルシェをもらうとは。話を聞いていて、もらう方が少しヘンらしいのは理解できる。だが、このエピソードは譲る方もどこかヘン。類は友を呼ぶということか。詳細を聞くと、次のような顛末だったという。
「2年くらい前かな。ある撮影の帰り、当時このポルシェの持ち主だったヘアメイクさんが、事務所まで送ってくれることになったんです。助手席専門だけど、クルマから外を眺めるのは好きだから大喜びで助手席に乗り込んだんですよ。わたしね、タクシーの運転手さんにも言われた事あるんです。『そんなにドライブ楽しいかい?!』って。犬みたいに、窓から顔だして街路樹をきれいだなあって見てたんです。そんなわけで運転できないけど、クルマに乗るのはとっても好き。タクシーでも、乗り心地がいいタクシーはどこの会社かチェックするようにしてるぐらいですから」
高速を飛ばすピンクのポルシェ。助手席の大宮さんは、いつものように車窓を流れる風景に大喜びしていたという。
「ずっと窓の外を見ていたんですが、運転席からは『実は、新しいポルシェを買ったんだよね。黒の、もう超かっこいいヤツ』とかいう、自慢話が聞こえてくる。聞き流していたら『クルマってのはさ。人が選ぶんじゃないんだよ。クルマが人を選ぶんだ』とか言うんです。『え?人よりクルマのほうが偉いの?』って思って。そしたら『だから、エリーはこのクルマに選ばれたんだ!』って熱く言われまして。『えぇっ!?』って二度見しちゃいました(笑)。『ドハデなピンク色だから、似合うのは君しかいない!似合うヤツに乗って欲しいんだ』って。選ばれたなんて言われてすごく嬉しかったんですけど、でもね、ほら、免許ないのが気になって。『免許、持ってないですけど』って言ったら、『そんなの関係ねーよ』って言われて……」
「いや、やっぱり関係あるのでは……」と悩む本人をよそに、その日からピンクのポルシェは大宮エリー事務所の駐車場に置かれることになった。




