「これ、フェラーリじゃないの!?」
なのに、大宮エリーさんはこう言った。
「最初ね、これ、フェラーリだと思ってたんです。みんなにね。嬉しそうに『フェラーリもらっちゃった!』って言いふらしてたんです。ほら、馬のマークが、ひひーんって、あったもんだから」
……。
「馬のマークといえば、フェラーリだと思うじゃないですか。あ、でもポルシェも、イタリアのクルマですもんね」
いや、ドイツのクルマです。
「え!? ポルシェって、ドイツなの? でもほら、このマーク(エンブレム)には遊び心があるじゃないですか。イタリアっぽくないですか。たしか、イタリアに行ったとき、ポルシェをつくっているという街を通った気がするんです。ポルシェ、って街、なかったかなぁ……。絶対にポルシェにゆかりのある街があった!」
でも、ドイツ車ですよ。
「ああ! 思い出した!ごめんなさい。フェッラーリ、って街を通ったんだった……。いや、違うか……。でもでも!このマーク、馬が楽しそうですよ。ノリノリでラテンな感じじゃないですか。だからイタリアかなぁって」
……。
確かにフェラーリも跳ね馬のエンブレムで、ポルシェも跳ね馬です。もっと解説すると、ポルシェのエンブレムの跳ね馬はポルシェ本社があるドイツのシュトゥットガルトという都市の紋章です。一説には、フェラーリの跳ね馬もシュトゥットガルトの紋章が由来という話もあります。第一次大戦でイタリア空軍の撃墜王、フランチェスコ・バラッカが、撃墜したドイツ空軍機についていたシュトゥットガルト市の紋章の跳ね馬をモチーフにしたという話もあったりします。
「っていうことは、パクリ? どっちがどっちをパクったんですかね?」
いや、そうじゃなくて……。とてもポルシェのオーナーとは信じられない、あまりにも大胆すぎる発想力。さすが『生きるコント』だけのことはある。
「ちなみに私、免許持ってないんですよね〜」
「ちなみに」どころではない。ものすごく肝心な話である。



