初代ジャガーの悲劇のクラッシュ
「若い頃からずっとクルマはほしかったんですよ。でも、ただの若いダンサーだった頃は、経済的なゆとりがあるわけでもない。TRFでそこそこ成功して、やっとクルマを持つということがリアルに考えられるようになったんです」
SAMさんは、「そこそこ」と謙遜するが、ちょうどその頃TRFは、『寒い夜だから…』、『survival dAnce ~no no cry more~』、『BOY MEETS GIRL』などミリオンヒットを連発。大ブレイクを果たし、ダンスミュージック界の頂点に立った頃だ。最初に手に入れたのは、黒のボディにベージュの幌の一台。知り合いに探してもらい、ようやく手に入れたジャガーだったが、10年乗った2004年に首都高で事故に遭い、廃車になってしまったという。
「すごく好きなクルマだったから、あちこち手を入れながら乗っていたんです。ただそれでもハンドルや足回りが本当にヤバくて、雨の日の塗装の上なんかは本当に怖かった。当時は芝浦の方に住んでいて、芝浦から渋谷方面に向かって浜崎橋の合流のところで車線変更をしたら、そこでいきなり挙動がおかしくなってスピンですよ。確か、左の壁にぶつかって右に跳ね返って止まったんじゃなかったかな」
時刻は朝の8時頃と交通量が増える頃。奇跡的に他の車両との接触はなく、SAMさんは傷ひとつなく生還した。だが、10年乗った愛車は手の施しようがないほど大破してしまった。
「修理したら600~700万円かかると言われて泣く泣くあきらめました。しばらくは、事故のショックもあって乗る気になれなかったんですが、1年も経つとまたほしくなってくる。ただ、ジャガーは本当に好きな人が長く乗るクルマなので、なかなか状態のいいクルマが出てこない。ちょうどそんな頃、行きつけのダンススタジオの近くに渋いジャガーが駐車されていたんです」
そしてそのジャガーこそが、後にSAMさんの愛車となる、93年式XJSだった。



