最新が最良……とは限らない
性能面での進化に関して、最新が最良であることは疑う余地はない。しかし「すべての面で“最新が最良”とは限らない」とまことさんは言う。
「トータルで考えると、僕にとってこの993型こそが“最良のポルシェ”。最後の空冷エンジンのドロロロロロ……という独特のサウンドもたまらないし、デザイン面でも最新型よりこっちのほうが、個人的には断然好き。特に、後ろから見たときのフォルムの美しさと言ったら!リアフェンダーあたりの隆起したラインなんか、もう、最高。ずっと眺めていても飽きないほど、惚れ惚れしてしまう美しさです」
993型の911には“未完成の美学”がある、とまことさんは続ける。
「なんだろう、いい意味で洗練されていない、と言ったらいいのかな。だからこそ、時が経つほどに、じわじわと愛着が沸いてくる。やっぱりこの時代のポルシェのフォルムこそが、かっこいいクルマのデザインアイコンとして、僕の脳に刷り込まれているんです」
ニューモデルに目移りするのでもなく、かといって懐古主義に走るのでもない。自分が本当に好きなものをきちんと見極め、それに対して徹底的に愛情を注ぎ続ける。クルマに対する極めて健全な愛のかたちである。
写真・相川大助 Photos/AIKAWA Daisuke



