カネも手間もかかる。だが、それすらも魅力
「確かに高額ということならば、ブガッティあたりは億単位のものもある。でもね。ベントレーやロールスロイスのクラス感というのは、金額の問題ではないんです。塗装にしても重ねられた歴史の厚みを感じますよね。メッキクローム仕上げのミラーやホイール、内装にしても革のシートやローズウッドのダッシュボードは古いアンティークに触れている気分になります。ただ、アンティークを現役のまま使い、コンディションを保つには手間もヒマもカネもかかる。それでも好きなんだから仕方がないよね(笑)」
実は昨年末、中島社長のロールスロイスは「長期入院していた」という。
「曲がるときにポールにちょっとぶつけただけなのに、3か月帰ってこない(笑)。しかも、当たったのはドアの部分だけなのに修理代は350万円かかるという。もうそういうものだと思って乗るしかない。ベントレーやロールスロイスはそういうクルマなんですよね。だから1台だけではこと足りなくて、2台3台と持つようになる。『中島さん、最近ロールスロイス乗ってないね。どうしたの?』ってよく聞かれるけど、『戻ってこないんだよね』としか答えようがないんですよ(笑)」
ヴィンテージカーとは人間に例えるなら、ハデに遊びに出かけては何日も帰ってこない奔放な恋人のような存在なのかもしれない。そんな相手との付き合いを愉しむには、ゆったり構えて待つことができ、その待つ時間を愉しめる“大人”であること。それが奔放な恋人と付き合うための条件である。
写真・佐々木朋広 Photos/SASAKI Tomohiro





