惚れ抜いた美しいボディライン
「世の中に、いろいろなタイプのクルマがあるように、クルマ好きにもいろいろなタイプがいるんですよ。スポーツタイプのクルマのエンジン音が好きな人もいるし、僕のように街中で黒いクルマに乗るのが好きなヤツもいる」
中島社長ほどのベテランともなれば、さまざまなクルマの味わいを知っている。ベントレーを手に入れる以前には、初期のマセラティ・クアトロポルテやメルセデスに乗ったこともあるが、29歳の時から今に至るまでガレージからベントレーが姿を消したことはなかった。
「フェラーリやアストンマーチンのような速いスポーツカーに乗っていたら、大事故を起こして死んじゃいそうな気がしてね。だから乗らないんですよ。ベントレーやロールスロイスに乗る限りは、他のクルマとスピードで競わずに済む。交通安全のために乗っているようなものですよ(笑)」
もちろん、上記は中島社長一流の冗談である。フェラーリやアストンマーチンの魅力は「速い」ということだけではないし、中島社長自身「速いクルマが嫌いなわけでもない」という。だが、「やっぱり、旧車はセクシーなんだよね」という中島社長はヴィンテージカーの美しさに惹かれるという。
「バンパーひとつとっても、今のクルマはゴムやプラスチックだけれど、旧車はクロームメッキ。ボディラインの美しさにしても何とも言えないほど、なまめかしい。その佇まいは、美しく年を重ねた女性にも似ている気がする」
その魅力にとりつかれて数十年。もはや中島武と旧車は切っても切れない仲である。






