いいクルマは持ち主をも育ててくれる
「本来、いいクルマやタキシードというのは持っている人、着ている人の顔を作っていくはずのものなんだけど、実際にはなかなかそうもいかないこともあるんです。どんないい旧車に乗っていてもオーナーではなく運転手にしか見えなかったり、タキシードでパーティに行っても従業員だと勘違いされてしまったり。乗りこなすだけ、着こなすだけのオーラというか雰囲気が必要なんです」
最初はオーラがなくてもいい。そのモノが持つ力強さ、美しさを感じ取れる素養があれば、モノに見合うだけの男になろうと背伸びをする。最初はつま先立ちでも、いずれ地に足のついた一級品の男になっていく。もっとも、既に雰囲気を身にまとった男の場合、そんなステップは必要ない。
「僕の場合は、今さら背伸びをするような年でもないし、これ見よがしにクルマをホテルの目立つところに停めようとも思わない。クルマは普通にパレットに入れちゃうし、本当にクルマが好きな人相手ならハンドルを握らせたり、クルマを貸すのも気にならないんですよね。そもそも、旧車なんておおらかじゃない人は乗れません。前日まで何ともなかったのに、ある日突然エンジンがかからなくなったりすることだってある。いちいちキリキリしていられないですよ(笑)」
ただし、乗りつけない人を旧車に乗せると、予想もつかない“事故”が起きることもあるという。
写真・佐々木朋広 Photos/SASAKI Tomohiro





