屈辱の全敗
「やっぱり一勝もできなかったというのはツライですよ。ただ一番チームの雰囲気が暗かったのは、ベネズエラ戦の後ですね。決勝トーナメントへの希望が完全になくなったわけですから。アメリカ戦前には『今までやってきたことをすべて出し切ろう』というポジティブな雰囲気も生まれていましたし、戦後には『いままでありがとう』という話もできました」
男子バレーボール全日本代表チームの終戦は8月18日。そしてその一週間後の25日、越川選手は故障した膝の手術を日本で受けることになった。「手術自体はそんなに怖くなかった」という越川選手の頭をよぎったのは「とにかく早く手術して、早く復帰したい」ということのみ。前日24日の午後から麻酔入りの点滴を打ち始め、本人も気づかぬうちに意識を失った。
「目覚めたのはもう手術の後でした。眠ってから何時間後だったのかは正直わかりませんけど、手術が終わってストレッチャーで病室に運ばれて、自分のベッドに戻されたとき、膝に激痛が走って目が覚めたんです。それが25日の夕方かな。そこに代表の植田監督と大竹コーチが来てくださっていたらしいんですが、そもそもメガネもコンタクトもかけていないから見えないし、激痛と朦朧とする意識のなかであまり覚えていないんです。痛み止めの注射で少しラクになって、また眠ってしまいました」
痛み止めの効果が薄れる頃に痛みで目が覚める、を繰り返した。深夜の1時頃、ようやく話ができるようになった。その時、病室には父親たった一人が残っていたという。



