英国車に惹かれるその理由
「とりわけ、イギリス車はインテリアに特徴がある。レンジローバー、MG、アストンマーティン……、いずれのインテリアもすごく手がかかっていて、ウッドパネルが特徴的だったり、革が贅沢に、しかも上品に使われていたりもする。MG RV8のような比較的小さなクルマでも、レンジローバーのようなゴツイクルマでも、アストンマーティンにも共通する質感がある。その質感が、僕にはすごくヒットしたんでしょうね。」
“英国車”のウッドパネルには、各メーカーの特徴が現れている。高松さんのDB9のウッドパネルは竹でしつらえられている。
「竹のウッドパネルってあまりないですよね。いろいろなクルマを乗り継いでわかったんですが、やはり僕がのめり込めるのは、特徴の濃いクルマ。僕が乗り継いできたクルマはいずれも深く愛せる特徴があったんです。でも唯一BMWだけが例外で、愛していたとは言いづらいかもしれません。一点突破で惚れるという感覚ではなく、「屋根が開く」、「4人乗り」と消去法で条件を絞り込んで選んだ唯一のクルマだったからかもしれません。誤解のないよう言っておきますが、クルマ自体はすごくいいクルマ。でも、いっこうに壊れる兆候がなくて、愛情がなかなか深まらなかった(笑)。今のアストンも、まだ目立った故障はないんですが、『いつか何かあるんじゃないか』という予感はありますね(笑)」
学生時代、大学内の周回道路で愛車トレノを廃車にして以来、トラブル抜きで高松さんと愛車の関係は語れない。初めて輸入車を自分のものにしたシトロエンBXでは青山通りでブレーキオイル漏れを起こし、完全にブレーキが“抜け”てしまう状態に。ハンドブレーキだけで衝突を免れた。次のレンジローバーでは首都高上でステアリングがまったく操縦不能になり、クラッシュ寸前にミリ単位でのブレーキコントロールで切り抜けたことも。さらにMG RV8では走行時に突然ミッションが2速に固定されてしまい、ニュートラルにどうしても入らない事態に。信号の手前でエンストとの恐怖と闘いながら、郊外から都心までの数十㎞という距離を2速固定で走りきるというアクロバティックなドライブも経験した。
「トラブルの多いクルマって、わがままな女の子に似ていますよね。全部70点の女の子よりも、少しわがままなところがあるけど、ふとした拍子にすごくかわいらしい表情をする子っているでしょう? 自分が好きだと思える決定的な何かがある方が惹きつけられる。男ってそういう生き物ですよね(笑)」
日常に潜む非日常、常軌の影の狂気……、数え上げればきりがない。男とは、どれほど“性悪”だと言われようとも、そこに潜む魔性に惹きつけられる生き物なのだ。
写真・北野謙 Photos/KITANO Ken




