「キビキビ」より「モタモタ」がいい
「生まれて初めて……というとオーバーですが、世田谷できちんと買い物をするのがどうにも気恥ずかしくて……。納車時の帰り道、目黒通りのインポート家具屋が集まっている地域を通るのが、またもや気恥ずかしい。私にとって、インポートというと池袋・サンシャインシティにあったワールドインポートマートくらいしか縁がありませんから(笑)」
これまで、石原さんが乗り継いできたのは、スズキのカプチーノや日産のフィガロといった小さなクルマ。どれもこれも排気量が少なくてヒトクセある小型車ばかりだ。
「小さくて雰囲気のあるクルマが好きなんでしょうね。もっと言えば、街にあふれかえっていないクルマ。大人として捨ててはいけない何かをクルマに求めているのかもしれません。例えば色ならオレンジ(オレンジ エーリアル)も捨てがたかったんですが、中途半端な自己主張もアレですし、一応『大人のクルマ選び』ということも念頭に置かなければならない。となると、この形でこの色というのが落としどころだったような気もします」
実際、街乗りしていても、同車種に出会ったのは「過去に一度だけ」とか。個性的なフォルムを選んだからには、色にはある程度の落ち着きを持たせる。それが大人の配慮ということのようだ。
「キビキビ走ってほしいかというとそうでもない。前のフィガロもそうですが、キビキビいというよりもモタモタという方がピッタリ来ますよね。私が好きなクルマに共通するのは“モタモタ感”なんです。このクルマのヘッドライトもけなげに必死になっているような目つきで、つい『がんばれ』と応援したくなってしまうんです」
フィガロに乗っていたときには子供に指を指されることが多かったというが、現在では子供よりも大人に「ん? いまのクルマは……?」という顔で振り向かれることが増えたという。大人による大人のための遊び心あふれるクルマ選びにおける、ひとつの正解の形でもある。




