コートに立てずともできることはある
「とにかく少しでも動けるようにと、当日朝と試合の直前に膝から水を抜いたんですが、血液が混ざっている。どう考えても故障しているんですが、どうしても今回の五輪だけはできる限り力になりたかったから、痛み止めを打ってもらったんです。痛み止めの効果はすごいですよ。痛みもなくなりましたが、感覚もなくなってしまいました(苦笑)」
だが、1セット目には感じなかった痛みも、2セット目には違和感を感じるようになり、3セット目には痛みにも襲われた。「結局、ベネズエラ戦では自分のプレーができなかった」という越川選手は、3セット目の途中で荻野選手に交代となり、このゲームも落とすことに。この時点で決勝トーナメント進出の可能性は完全に閉ざされた。
「いま振り返っても、ベネズエラ戦の記憶だけはほとんどないんです。膝の状態もあってプレーするだけでもう精一杯。どこでどんなプレーをしたか、何点で負けたのかも記憶には一切ないんです」
最終戦となるアメリカ戦は、不出場。ベンチの横でチームメイトのためにタオルをたたみ、チームのために声を張り上げて応援し、コートに立つメンバーにアドバイスを送った。
「コートの外からだからこそ見えてくるものがあるんです。もちろん、いつもコートの中に立っていたいんですが、それが難しくてもチームのためにできることはいくらでもあるはずですから」
そしてアメリカ戦は終わった。越川選手にとっての初めての五輪、そして全日本男子バレーボールチームにとって16年ぶりの五輪は「全敗」で幕を閉じた。



